物語学の森 Blog版 玉鬘の長谷寺 物語学の森 Blog版 玉鬘の長谷寺
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物語学の森 Blog版
このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。
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 春休みの宿題を終えて新学期。昨年のデータ蓄積で教材は見なおす程度、教室は教卓と学生机ひとつひとつが総てアクリルで仕切られ、見通しは悪いが、ともあれ対面授業が始まった。
 折しも、古代文学研究会例会は、寄稿を要請されている、「古代文学における〈両極〉」の特集シンポジュウム。先月の同行者・池田大輔氏が肥後の大夫監を取り上げた。大夫監の求婚から逃れるため、玉鬘一行は都へと逃れ、石清水八幡、さらには長谷寺を参詣し、瞼の母の侍女・右近と再会する。流離の姫君は、六条院に養女として迎え取られることとなり、その運命は大きく展開する。

<豊後介> 「うち次ぎては、仏の御なかには、初瀬なむ、日の本のうちには、あらたなる験現したまふと、唐土にだに聞こえあむなり。まして、わが国のうちにこそ、遠き国の境とても、年経たまへれば、若君をば、まして恵みたまひてむ」
 とて、出だし立てたてまつる。ことさらに徒歩よりと定めたり。ならはぬ心地に、いとわびしく苦しけれど、人の言ふままに、ものもおぼえで歩みたまふ。
<玉鬘> 「いかなる罪深き身にて、かかる世にさすらふらむ。わが親、世に亡くなりたまへりとも、われをあはれと思さば、おはすらむ所に誘ひたまへ。もし、世におはせば、御顔見せたまへ」
 と、仏を念じつつ、ありけむさまをだにおぼえねば、ただ、「親おはせましかば」と、ばかりの悲しさを、嘆きわたりたまへるに、かくさしあたりて、身のわりなきままに、取り返しいみじくおぼえつつ、からうして、椿市といふ所に、四日といふ巳の時ばかりに、生ける心地もせで、行き着きたまへり。
 
 椿市で母・夕顔の侍女右近と再会した玉鬘は、長谷寺の二本杉になぞらえて、この観音参詣が無ければ、自身の出自も知ることはなかったと、その霊験に感謝したのである。

  参り集ふ人のありさまども、見下さるる方なり。前より行く水をば、初瀬川といふなりけり。右近、
 「二本の杉の たちどを尋ねずは ふる川野辺に 君を見ましや
 うれしき瀬にも」
 と聞こゆ。
<玉鬘>「初瀬川 はやくのことは 知らねども 今日の逢ふ瀬に 身さへ流れぬ」
 と、うち泣きておはするさま、いとめやすし。


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