物語学の森 Blog版 横井孝・福家俊幸・久下裕利編『知の遺産シリーズ⑦ 紫式部日記・集の新世界』
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横井孝・福家俊幸・久下裕利編『知の遺産シリーズ⑦ 紫式部日記・集の新世界』
2020-05-20 Wed 07:48


文学史上の『紫式部日記』『紫式部集』……横井 孝
紫式部の生涯
  ─『紫式部日記』『紫式部集』との関わりにおいて─……上原作和
『紫式部日記』『紫式部集』の成立
  ─古本系集に増補された「日記哥」から考える─……笹川博司
現行『紫式部日記』の形態
  ─冒頭・消息体・十一日の暁、『枕草子』にも触れつつ─……山本淳子
敦成親王誕生記としての『紫式部日記』
  ─『栄花物語』との関連から─……福家俊幸
『紫式部日記』『紫式部集』の中の紫式部
  ─中宮彰子サロンの中の紫式部─……廣田 收
『紫式部日記』『紫式部集』の中の女房たち……福家俊幸
『紫式部日記』寛弘六年の記事欠落問題……久下裕利
『紫式部日記』の儀礼・服飾・室礼……末松 剛
『紫式部日記絵巻』の視点
  ─描かれた〈紫式部〉像─……川名淳子
『紫式部日記』『紫式部集』─研究の現在と展望
  ─付、主要文献目録(二〇〇〇年~二〇一八年)……上野英子

  昨日、造本完成。さっそく気になる論攷から検討。まさに百花繚乱、最新、かつ諸説紛々?の論集。
 拙稿「紫式部の生涯」は、昭和の古記録未整備時代の推論を再検討したもの。
 本書で争点化されている感のある前紫式部日記と現存日記との関係は、萩谷『全注釈』説が最も合理的だと私は考えているが、『明月記』貞永二年(1233)三月廿日条「五月、紫式部、日記暁景気」の記事や、陽明文庫本『紫式部集』日記歌の五月の記事といった外部徴証から、現存日記の成立過程に関しては萩谷説が複雑なプロセスとなっているためか、その評価はおおむね言及すれども否定的な見解となっている。ただし、提示された関連論攷もまた、現存日記の成立過程に関しては、首欠説の当否も含め、有力な仮説を示したとするに留まり、いずれにせよ、この問題は、さらなる検討が必要な課題ということになる。
 問題なのは、これらの成立過程論を顧みずして、日記や歌集を論ずる、いわゆる作品論である。このような「逃げ」的論法は、本書の議論から、日記を論ずるにせよ。家集を論ずるにせよ、まったく論外であることが明らかとなっている。
 ともあれ、平安朝文学研究者必備の書。ぜひ御高架をお願いしたい。

拙稿訂正
p26 3行目 ○ わたくし × わたしく
p28 6行目 ○ わたくし × わたしく
p37 14行目 ○ …注意を要する)。       ×…注意を要する。
p43 14行目 ○ <抜刀者入宮中事>  ×  <抜刀者入二宮中一事>
p46 4行目 ○ 治安元年(1021) 三月三日  ×寛仁四年(1020)三月三日  
 ※ 『小右記』寛仁四年九月十一日条の「太皇宮女房」を紫式部生存と認め訂正します。
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