物語学の森 Blog版 神田龍身著『平安朝物語文学とは何か-『竹取』『源氏』『狭衣』とエクリチュール』
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神田龍身著『平安朝物語文学とは何か-『竹取』『源氏』『狭衣』とエクリチュール』
2020-02-11 Tue 07:53


 著者から拝領。ありがとうございます。以前、新刊を準備中で、私の「琴の譜」の論文を再読したとのお話をお聞きしていたが、第九章「女楽とエクリチュール」にそれは結実していることを知る。『竹取』『源氏』『狭衣』で「物語文学とは何か」を論じた一冊。
 私は研究書や論文を注記から読む悪癖があるが、「あとがきにかえて」と巻末注記を読むだけで、研究史の整理を不断にしていないと書けない濃密な内容であった。また、特徴的なのは門下生の論文が随所に引用され、論の骨格を支えていることに気付かされる。門下生の発表や論文指導で得た特徴を丁寧に掬い取り、御自身の研究に展開させているということだ。
 萩谷先生の『土佐日記全注釈』『紫式部日記全注釈』には二松学舎時代の門下生の説が、『枕草子解環』には、母校の門下生、特に学部ゼミの先輩達の説が紹介されているが、私は定年直前に大学院に入ったから、残念ながら先生の注釈には寄与できなかった。こうした成果は、学部ゼミで、先生を唸らせ、注記に書き込んでもらおうと、ゼミ発表のレベルにも好結果を生んでいたことを思い出した。

 神田さんは、叢書の注釈の依頼があっても、研究の方向性が違うとこれを断ったとお聞きしている。
 紀貫之の名前の由来ともなった、一本、筋の通った研究姿勢を半世紀近くこれを貫く-「吾が道は一を以て之を貫」(論語)いておられること、このことに敬意を表したい。

※『論語』里仁・第四 十五章「子曰、參乎、吾道一以貫之」による。
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