物語学の森 Blog版 『うつほ物語』国譲・下巻の新解釈ふたつ。
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『うつほ物語』国譲・下巻の新解釈ふたつ。
2019-09-13 Fri 09:25
無題無題2

 國學院の『うつほ物語』国譲・下巻の輪読会担当につき、本文9本の校合と注釈書6本入力中。冒頭から難解本文に遭遇。東宮とあて宮が参内するその行列を人人が眺める場面。

女御、御くるまは、みなみの御門。三条の大路にひきたてたり。御車牛くろうてかけたり。 おうふう795頁7行目該当

【角川文庫】「の」一字補う。/「南の御かど」の誤りか。
【おうふう】 三条院の東南の町の南の門。三条院は、三条大路の北に位置することになる。「蔵開・上」の巻の五〇二((×三))頁の注三参照。
  「蔵開・上」巻 おうふう五〇二頁注三
 正頼邸。「藤原の君」の巻の六八頁の注三には、「三条大宮のほど」とあり、三条大路の南、大宮大路の西にあった。「沖つ白波」の巻の四六一頁の注四((×三))参照。だが、これでは、「近さは、一町あまりばかり」にならない。ここは、正頼邸を、三条大路の北、大宮大路の西に、構想を変更したものか。堀川を挟むことになる。

【新編全集】 三条邸の南門。注二(東宮は、東の大路の前、大宮の大路に引き立てたり/三条邸の東側の大路の前)の位置と合わせると、三条邸は三条北、大宮西にあることになる。
 -現代語訳 藤壺の女御、御車は、東南の町の南の御門を出て、三条の大路に引き立ててある。御車は黒牛に懸けてある。
 
 まず、正頼邸宅の位置が「蔵開」下巻から三条大路北に変更され、神泉苑と同じ位置になるために混乱が生じている。諸注は、「女御、御くるまは、みなみの御もん、三条のおほちにひきたてたり」を駐車位置として考証するが、車の出場門のことではないか。東宮は東の大路の前(の門)、女御は南の御門から、参内に向かったの文意であろう。「女御、御車は、みなみの御門。」である。
 また「御車牛くろうて懸けたり。」の【新編】「御車は黒牛に懸けてある」はまったく意味不明。 「くろう」は「牛」を「座す=くらす」で、語尾はウ音便であろう。「懸ける」は軛(くびき)を榻(しじ)に懸けること。
  『日本国語大辞典第二版』
くらす―(「蔵」と同語源か)多く造語要素として用い、すわる所、また、物を置く場所、野菜などを植える場所などの意を表わす。「天磐座(あまのいわくら)」「高御座(たかみくら)」「御手座(みてぐら)」など。


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