物語学の森 Blog版 大島本『奥入』に引用された目連救母説話
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大島本『奥入』に引用された目連救母説話
2019-01-07 Mon 06:33
 『源氏物語』「鈴虫」巻で、秋好中宮が、物の気となった母六条御息所の罪障から出家しようとした時、源氏は以下のように述べて、これを制していた。

 その炎なむ、誰も逃るまじきことと知りながら、朝の露のかかれるほどは、思ひ捨てはべらぬになむ。目連が仏に近き聖の身にて、たちまちに救ひけむ例にも、え継がせたまはざらむものから、玉の簪捨てさせたまはむも、この世には恨み残るやうなるわざなり。    (大島本「鈴虫」巻)

  引用された目連救母説話は、藤原定家が自筆本『奥入』に以下の典拠を示している(『源氏釈』も同内容)。ただし、転写の際の異同も激しいので、諸本を校合してわたくしに訓釈した。

目連((×蓮))初メテ道眼ヲ得テ母ノ生ルル所ヲ見ル。而ルニ地獄ニ堕イリ、骨ヲ砕(くだ)キ膚(はだえ)ヲ焼(や)ク。仍テ神通ニ乗り、自ラ地獄ニ行ク。獄卒ニ逢ヒテ相代(あいかわら)ムと母ヲ乞(こ)ヒ請(う)ク。獄卒答ヘテ云ハク「善悪ノ業ノ造ル者自ラ其ノ果ヲ受ク。大小利ノ法也。更ニ免(ゆる)スベカラズ。則チ鉄(てつじよう)城之戸(と)ヲ閇ヂヌ。見エズ成ヌ。目蓮悲シミテ空シク帰ル。但シ、経文ノ如キ者ハ餓鬼中ニ堕ツ。仍テ七月十五日盂蘭盆(うらぼん)ヲ設ケ之ヲ救フニ明ラカナル事也

 完全原稿は目下編集中の本に掲載予定。
 追記 いがわ・まこと氏の教示により、『奥入』は定家自筆本の訓点により、訂正しました。ありがとうございます。
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