物語学の森 Blog版 書き出しは決まったものの…。
書き出しは決まったものの…。
2017-08-08 Tue 07:16
  ふたつの「桐」の物語

 我が国を代表する物語文学は、ともに「桐」の物語から始まる。『うつほの物語』は、大陸を跨ぐ巨木の桐から切り出された琴の相承の物語であり、その言われは主人公の藤原仲忠が、清原俊蔭の娘と北山杉の洞穴で生活しつつ琴の相伝が行われたことによる書名である、また『源氏の物語』は局に桐の植えられた平安京内裏の淑景舎が物語の発端であるからだ。

 桐は梧桐(アオイ目アオイ科、十五~二十㍍)と白桐(シソ目キリ科、十㍍)とがあり、樹木としては別類である。ただし、ともに「桐」として呼び慣わされために混乱が生じたのであろう。『斉民要術』(中国北魏の賈思勰(かしきょう)著の総合的農書。五三二年から五四九年)は両者を青桐、白桐と書き分けている。後者は桐箪笥のように最高級木材として重宝され、下駄や箪笥、琴、箏(こと)、神楽面の材料となっている。また、梧桐は鳳凰の止まる木として神聖視され、日本では白桐を以て嵯峨天皇の御代から天皇の衣裳の刺繍や染め抜きに用いられ、「菊の御紋」に次ぐ高貴な紋章とされてきた。かつて日本では女の子が生まれると白桐を植え、結婚する際にはその白桐で箪笥を作り、嫁入り道具にするという風習もあった。白桐は成長が早いためにこのような習わしが可能なのである。

乞御期待。
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