物語学の森 Blog版 坂本龍馬と琴を弾く女性たち
坂本龍馬と琴を弾く女性たち
2017-06-13 Tue 06:03


 江戸東京博物館の坂本龍馬展へ。写真はふたつとも撮影可(為念)。後者は、龍馬も乗った幕府軍艦「順動丸」関係展示。139点現存するという書簡もかなりの数が提示されています。なかに恋人の女性が得意とする楽器の記述が面白い。千葉佐那は当時の芸事のひとつに十三絃の箏があると書き、お龍には自分で買い求めたらしい長崎月琴(明清楽の楽器で四弦。今のバンジョー)。司馬遼太郎『龍馬がゆく』のなかに、お龍が買い求めた一絃琴を、龍馬に弾くようおねだりした話や宮尾登美子『一絃の琴』は『日本琴學史』に紹介しました。なお、NHK大河ドラマ「龍馬伝」で平井加尾役の広末涼子さんが一絃琴を奏でる場面もあり、女性と楽器のキャラクターのかき分けは、その出自と密接な関連があるようです。勤王の志士にとっては、王統の楽器として知られる琴(きん)に通じる土佐の一絃琴を弾くことがこの楽統に連なるものと考えられるようです。佐久間象山も信州上田で七絃、一絃を習っており、これらの楽器は象山記念館に、また象山の影響から琴を学んだ第八代・真田幸貫遺愛の琴は真田宝物館に現存(岸邉成雄『江戸時代の琴士物語』2000年)。

文久3年(1863)8月14日、姉・坂本乙女宛書簡

「この話はまづまづ人にゆ(言)はれんぞよ…この人はおさな(千葉左那)といふ。本は乙女と言ゝしなり。今年廿六歳なり候。馬によく乗り剣も余程手づよく、長刀も出来、力はなみなみの男子よりつよく(中略)顔かたち平井(加尾)より少しよし。十三弦(じゅうさんげん)の琴よくひき、十四歳の時皆伝いたし申候よし。そして絵もかき申候。心ばえ大丈夫にて男子などおよばず、それにいたりてしづかなる人なり。夫にいたりて静かなる人なり。まあ/\今の平井/\」

慶応元(1865)年9月9日 姉ろ坂本乙女、妹・おやべ宛書簡

京の話、然に内々なり。(略)
右女(楢崎龍)はまことにおもしろき女にて月琴おひき申候。今はさまでふじゆうもせずくらし候。此女私し故ありて十三のいもふと、五歳になる男子引とりて人にあづけおきすくい候。又私のあよふき時よくすくい候事どもあり、万一命あればどふかしてつかハし候と存候。此女乙大姉をして、しんのあねのよふにあいたがり候。乙大姉の名諸国ニあらはれおり候。龍馬よりつよいというひよふばんなり。

 坂本龍馬書簡一覧
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