物語学の森 Blog版 『源氏物語』本文関係資料に関する共同研究@國學院大學
『源氏物語』本文関係資料に関する共同研究@國學院大學
2016-12-26 Mon 06:36


  クリスマスイブの午後は渋谷・國學院大學で『源氏物語』本文関係資料に関する共同研究報告会。都合八本の報告を聞く。圧倒的な情報量、しかも、最新の研究成果を惜しみもなくご披露いただきました。僕の報告に関しては、上野先生の二種類の『奥入』の成立順序に関して、中村先生の大島本の宮河印の有無による二種類の大島本の本文特性に関する報告と、ともに研究対象が被り、緊張。従来、池田亀鑑によって、四半本(尊経閣文庫定家自筆本、明融本)『奥入』を第一次、六半本(枡形本)大橋家蔵定家自筆本『奥入』を第二次と規定していたため、時折、不案内の研究者がこれを踏襲している論文を見かけますが、すでに待井新一氏以来、順序が逆であり、「いわゆる第▽次」と呼び慣わすべきこと、このことも再確認できました。『奥入』の成立と『源氏物語』伝本製作過程はセットですから、その成立順序は『源氏物語』伝本の製作過程と直結します。その定家本『源氏物語』は、最低でも三種の揃い本があったとされています。

○建久年間盗難本(1190-1198) 典拠 『明月記』 散逸
○元仁二年本(1225) 典拠『明月記』 六半本(枡形本)大橋家蔵定家自筆本『奥入』
○以降の定家本    四半本(尊経閣文庫定家自筆本)「花散里」「柏木」

このことを踏まえて、現在、広汎に普及する『源氏物語』本文(明融本、大島本)は、後代の四半本転写本であるということを報告しました(こちらでもご紹介いただきました)。
 また、宮河印の有無による表記の差異についての報告は、二例「すそろ」なる平安後期から中世に見られる語彙が、宮河印の無い、書写の新しい巻に二箇所見られるとのこと。ただし、これは大島本そのものが15世紀以に存在した写本から転写されたものですから、さらなる研究成果をお聞きしたいところです。
 なお、この報告会は、なんらかのかたちで継続されることを希望します。その際にはまたご報告いたします。



 日曜日は国立劇場で「仮名手本忠臣蔵」を花道脇で堪能(昨年12月東海道四谷怪談でした)。帰りがけの表参道ライトアップで年の暮れを実感しました。
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