物語学の森 Blog版 『読売新聞』昭和6年5月の池田亀鑑-池田本『源氏物語』のことなど
『読売新聞』昭和6年5月の池田亀鑑-池田本『源氏物語』のことなど
2016-12-13 Tue 06:23

左 昭和6年5月5日付ラジオ欄/右 昭和6年5月5日付文芸欄

 現時点で最も古い池田亀鑑のラジオ出演記事は「読売新聞」昭和6年5月5日。「普通学講座」(5)を東京女子大学教授・倉野憲司とともに担当。肩書きは「大正大学教授」。翌6日は文芸欄で「國寶級の古書を掘出す-寂恵本「古今集」と八千圓の「源氏」」後者・『源氏物語』の記事中に登場。「昨年秋に開かれた関東西聯合古本大市に、形は四寸四方の眞四角な古寫本「源氏」五二帖(二帖缺本)」が「十五圓なにがし」で売り手がつかなかったところ、一誠堂書店が後日入札したものの、店舗に並べてわずか二時間、「相変はらず冷遇されていたのを、現代唯一の「源氏」蒐集家帝大教授池田亀鑑氏が発見し--同教授は古寫本「源氏」を七百種約一万冊を蒐集してゐる「源氏」通であるから--忽ち、それが前田侯爵家の青表紙秘蔵本と對照すべき、稀有の典籍であると目星をつけ、冷遇されてゐたままの値で買取つたさうであるが事実、侯爵家秘蔵本の残部五十二帖らしいので、それだと市價八千圓の國寶級の稀書である」と紹介され、一誠堂が価値を知って地団駄を踏んだ話としてまとめられています。これは天理図書館現蔵で、影印本刊行中の池田本出現の経緯のようです。
 さらに翌6日7面社会欄の下段には「国文學資料展」開催の紹介記事。大正大学郊北文学会が会長・高野辰之と池田亀鑑の蔵書百点を八・九日同学で陳列するというもの。これについては、大島本らしき本も「文明頃古寫 五十四帖」として出品されているし(池田本は目録には見えない)、徳富蘇峰も来訪したことが池田亀鑑の書簡から知られます。当時35歳、二年に渡る『馬賊の唄後篇』を前年末書き終え、なお、長編連載中の人気作家でもあった池田亀鑑が、研究者として「読売新聞」に三日間連続して登場していたことになります。このことは、資料を整理をしていて気付いたことです。

 参考・伊藤鉄也先生「昭和6年に大正大学で展示された古写本『源氏物語』」 

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