物語学の森 Blog版 青表紙本「葵」巻は脱文多し
青表紙本「葵」巻は脱文多し
2016-10-01 Sat 09:21

大島本「葵」巻は脱文と思しき本文箇所がこの他にも10例以上。「賢木」巻も同様で、ともに「宮河」印のない巻でもある。鎌倉時代別本の後補とは考えにくい丁寧な叙述となっています。

葵 ④ 新斎院、葵祭御禊の日
再建本文
 大将殿をこそはあやしき山がつさへ▼たびしかはらまで▼見たてまつらん▼ことをあらそいはべる▼とすなれ。遠き国より▼も聞きつたへてわざと▼妻子をひき具しつつも参で来なる▼たぐひおほくはべるなる▼を、御覧ぜぬはいとあまりにも▼うもれいたきわざを▼はべるかな。」と言ふを、
現代語訳
まず大将殿を、いやしい山賤(やまがつ)までが旅して河原までやってきて見奉ろうと争わんばかりの勢いだそうです。遠い国々から聞き伝えて敢えて妻子までも引き連れて都に上って来るようなことも多くあるといいますのに。ごらんにならずじまいでこの期を逃すのはいかにももったいないことでございます」と言うのを、
大成 二八六③ 大島本
 大將殿をこそはあやしき山かつさへみたてまつらんとすなれとをきくにくによりめこをひきくしつつもまうてくなるを御らむせぬはいとあまりも侍かなといふを
新編全集 二一⑪
 大将殿をこそはあやしき山がつさへ▼見たてまつらん▼とすなれ。遠き国より▼妻子をひき具しつつも参で来なるを、御覧ぜぬはいとあまりにも▼はべるかな。と言ふを
現代語訳
まず大将殿を、いやしい山賤(やまがつ)までが拝見しようとのことだそうです。遠い国々から妻子を引き連れては都に上って来るといいますのに。ごらんになりませぬのはいかにもあんまりでございます」と言うのを、
 
新大系二九三⑥
 大将殿をこそは、あやしき山がつさへ▼見たてまつらん▼とすなれ。とをき国ぐにより▼妻子を引き具しつつも参うで来なるを、御覧ぜぬはいとあまりも▼侍かな」と言ふを、

陽明文庫本
大将殿をこそあやしきやまかつたひしまて見たてまつらん事をあらそひ侍なれとゝをきくに/\よりもきゝつたえてわさとめこをひきくしつゝのほりまうてくるたくひおほく侍なるを御覧せさらんはいとあまりむもれいたきわさをとつふやくを

各筆源氏本
大将殿をこそあやしき山かつたひし 〈かはら〉 まてみたてまつらんことをあらそひ侍なれとをきくに/\よりもきゝつたえてわさとめこをひきくしてまうてくなるたくひおほく侍なるをこらむせさらん あまりむもれいたきわさかなとふやく

尾張家河内本本
大將とのをこそ・あやしき山かつたひしかはらまて〈かねてより見たてまつらんことをあらそひ侍なれ・とをきくに〉きくによりもききつたへて・わさとめこをひきつつのほりまうてくるたくひおほく侍なるを・御覧せさらんはいとあまりむもれいたきわさかなと・くちくちつふやくを
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