物語学の森 Blog版 中村義雄「挿絵雑感」より
中村義雄「挿絵雑感」より
2016-04-24 Sun 07:36
 中村義雄先生の古典挿絵について、池田弥三郎『光源氏の一生』を捲りなおしてみたところ、クレジットがありませんでした。ご自身により、1973年時点での回想があるので一部引用します。
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 萩谷朴教授の『紫式部日記全注釈』下巻がいよいよ刊行される。
『土佐日記全注釈』に引き続き、このたびも挿絵の一部を描いた者として、「挿絵雑感」とでもいうことで、ふだん感じていることを二、三述べてみたい。これまでにも『枕草子絵巻』の全図模写をはじめ、古語辞典や広辞苑、高等学校古典教科書、谷崎潤一郎氏の『新々訳源氏物語』の月報連載の絵巻模写など、いろいろな絵を描いてみて、ずいぶん勉強になった。挿絵といってもこれらはいずれも資料として、絵巻、冊子絵、屏風絵、工芸調度、建築などの線描きを主とした模写がほとんどである。これに対して、萩谷教授の上記三冊の場合は、大部分が考証想定図であるところが全く違っており、それだけにむずかしい仕事であった。今日のいわゆるイラストとしては、八年ほど前に池田弥三郎氏の著『光源氏の一生』に五図ほど描いたことがある。

中村義雄「挿絵雑感」 「月報」18 『紫式部日記全注釈』角川書店、1973年
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 先生のお仕事については以前も記した記憶があります。中村先生は、若き日、古筆学の小松茂美氏と服部有恒のもとで古典画を学んだとのことで、角川賞記念の学内講演でも板書を用いられ、引目鉤鼻の男性貴族を女性貴族に変身させた技藝に圧倒されたことを思い出します。時々、話の展開次第で真似をして引目鉤鼻顔を描いてみますが、一度だけ「上手です」と講義の終わり際にわざわざ誉めてくれた女子学生があり、中村先生のことを思い出しました。『人物で読む源氏物語』でも奥様にお願いしてたくさん図版を使わせていただきました。先生の古典挿絵集も自分なりにまとめておきたいと思います。

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