物語学の森 Blog版 古本屋さんと本屋さんの将来
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このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。
古本屋さんと本屋さんの将来
 「日本の古本屋」で古典文庫の一冊を購入しようとしたところ、著名な古本屋さんではあるが、我が家から至近であることに気付き、送料と時間が節約になると思ってお電話を差し上げたところ、店舗はないことを告げられた上で、在庫を確認するから「電話番号といつ来るのか」を聞かれました。天気も良いので、GoogleMapで二つの小学校の間と場所を記憶に留めて自転車に乗ったところ、歯医者に向かうときに通り抜けるだけで、土地勘が怪しいことに気付く。微妙に寒風も吹いており、東京都とは言いながら畠もあって、砂埃にまみれて家を探す自分を想像して車に乗り換え、カーナビゲーションを頼りに南下すると数分で到着。普通の家の表札に「○●書房」とありました。すでに領収書も用意してくださり、互いに「またよろしくお願いします」と挨拶して、午後は、約200頁、本文だけの物語を系図を作りながら読みました。途中、科研費代表の先生のお若いときの論文がpdfになっており、詳細な系図があることが分かったので、答え合わせ。
 地代のかかる店舗はなくとも、目録とネット通販だけで古本屋さんは成り立つということでしょう。以前、新大系の欠本が地元の古本屋に出ており、送料と同じくらいの値段だったので、電話したところ、携帯に転送され、「そこは倉庫で常駐していないから直販は出来ない」と断られました。地番からして場所も特定されるほど近所で、畠の中にぽつんと倉庫があり、自身、よく通り過ぎていたところにありました。昨年もネットで見つけてお電話して取り置きしてもらった早稲田の古本屋さんも、大幅に店舗を縮小して営業していて吃驚しました。昔は探求本を早稲田、神田と歩いて探し、早稲田の方がやすいからと戻って購入、身体がくたくたになった記憶もありますが、今はほぼ一発であるなしが分かり、しかもオークションとなると、こちらは渇望の書でも、出品者にとっては在庫を減らしたい値段と言うこともしばしばあり、相対的に古書の値段は下がるいっぽう。有り難くもあり、寂しくもあり。新刊も数カ月経てば値崩れしてしまうので、「今すぐ必要」でなければ「待つ」ほうがお得、という時代となりました。

 先日お世話になった印刷屋さんも、取り次ぎ各社を通さなくても、個人で出品できるアマゾン等の席巻で、取り次ぎ各社と本屋さんの自主廃業が相次ぎ、産業構造の変化に苦慮しているという話をしたばかり。そこに、一昨日、学生時代お世話になった芳林堂倒産のニュース。確かにショックを受けましたが、大泉学園駅にジュンク堂も出来たし、超大型書店の展開によって、町の小さな本屋さんは鎧袖一触というところでしょう。かくいう自分自身、書店に出向いてみたのも、時間潰しの時だけ。
 我が町周辺には、高速道路の起点でもあり、都心に近くて地代の安いこともあってか、業界トップの取り次ぎ社や、著名書店の倉庫が並んでいます。過渡期の今、今後の帰趨を注視して行きたいと思っています。

2016-02-28 Sun 08:22
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