物語学の森 Blog版 『徒然草』のから学問の源泉を学ぶ
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このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。
『徒然草』のから学問の源泉を学ぶ

「呼子鳥は春のものなり」とばかり言ひて、如何なる鳥ともさだかに記せる物なし。或真言書の中に、呼子鳥鳴く時、招魂の法をば行ふ次第あり。これは鵺なり。『万葉集』の長歌に、「霞立つ、長き春日の」など続けたり。鵺鳥も喚子鳥のことざまに通いて聞ゆ。 『徒然草』210段

 呼子鳥は『古今伝授』のいわゆる「三木三鳥」のひとつに数えられ、兼好の時代、不明とされていたもの。これに「三草」を加えて以下の通り。
 三木
御賀玉木(をがたまのき)、河菜草(かはなくさ)、蓍に削り花(めどにけづりばな)
 三鳥
百千鳥(ももちどり)、稲負鳥(いなおほせどり)、呼子鳥(よぶこどり)
 三草
川菜草(かはなぐさ)、呉の母(くれのおも)、蓍に削り花(めどにけづりばな)

 蓍に削り花(めどにけづりばな)がかぶり都合八つとなります。「呼子鳥」に関しては二条為世の秘伝が執筆の遠因であろうことが角川文庫新版「補注」に記されてあります。為世と言えば、230段には実際に登場。歌道の師匠のエピソードが書き込まれています。

五条内裏には、妖物ありけり。藤大納言殿(為世)語られ侍りしは、殿上人ども、黒戸にて碁を打ちけるに、御簾を掲げて見るものあり。「誰そ」と見向きたれば、狐、人のやうについゐて、さし覗きたるを、「あれ狐よ」とどよまれて、惑ひ逃げにけり。未練の狐、化け損じけるにこそ。

 秘伝と言えば、「揚名の介」のことも書き込まれていました。
 揚名介に限らず、揚名目といふものあり。『政事要略』にあり。198段

 新版の「補注」は極めて明解に「秘伝」の解釈史を説明してあって有り難いのだけれども一箇所『源氏物語』の所在巻を「空蝉」巻とあるのは「夕顔」巻の誤り。池田亀鑑に拠れば、兼好は当時の青表紙本を見ている由。いずれにせよ、秘伝に通じていた兼好の学問の全体像を把握する必要があることは痛感しています。

2016-01-28 Thu 05:54
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