物語学の森 Blog版 『源氏物語』本文資料に関する共同研究会
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このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。
『源氏物語』本文資料に関する共同研究会
浮舟巻相関図

 渋谷の國學院大学で、『源氏物語』本文資料に関する共同研究会。濃密な5時間でした。通算で9年になると言う。後からメンバーに加えて頂いたので、保有するデータを駆使して、現在時点の見解をお聞きいただきました。

 とりわけ、伊藤先生ご報告中の写本作成ツールである「糸罫」には大いに関心を持ちました。以前、佐倉の国立歴史民俗博物館で、中世文書の作成現場の復原でこれを見たことがありました。この糸罫は鎌倉時代の『源氏物語』の写本作成にも活用されていたとするご見解から、このような職人的作業において、脱文の発生は考えにくいと言う説得力のあるご発言がありました。となると『源氏物語』有力諸本本文の瑕疵や誤謬は、書本のそれをそのまま書き写していると言うことになります。
 確かに、『源氏物語』の有力諸伝本は、字配り、行数、行間が揃っている本がほとんどですから、昨年の報告では大島本「帚木」巻は、本来は次頁の本文二行「よけむともえうけたまはらすとかしこ/まりてさふらふはしつかたのおましに」を写してしまったため、朱傍線でそのままミセケチにして(41丁ウラ)、再度同じ文章二行を写しているところがあり(42丁ウラ)、これは書本の状態をそのまま書き写したのだろうと言う、推測を報告したところでした(近々お届けする報告書参照)。

 今回の報告のマッピングを、さらに質疑応答の後、修正したものを掲げます(「現存「浮舟」巻宗本」「脱文発生転写本」を加えました)。来年は10回目の節目の会、興味のある方はぜひお越し下さい。

 糸罫については、関係論文の写真12参照。

2015-12-20 Sun 07:57
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