物語学の森 Blog版 田上菊舎『手折菊』の大尾抄録
田上菊舎『手折菊』の大尾抄録
2015-11-26 Thu 06:55
 田上菊舎『手折菊』の大尾は、法隆寺の開元琴弾琴の記事。俳文和歌漢詩集の趣であり、いずれ田上菊舎の演奏記録を作ろうと思います。琴曲「南薫操」は聖天子舜の作と伝える詩「南風」に曲をつけたもの。かの清原俊蔭が天人から与えられた「南風・波斯風」の「南風」はこれが典拠なのだろうと思います。 

  「南風の薫れる 以て吾が民の慍りを解くべし/南風の時なる 以て吾が民の財を阜にすべし」」
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 十三峠にて
ちよつと洩せ十三峠ほとゝぎす 』34オ

 程なく法隆寺に至りぬ。爰に上田何某といふは、西徳寺のゆかりあれば、予も元より相しる人なり。こたび開扉に詣来りて、たぐひなき勝事に逢侍るも、みな上田ぬしの誘掖をもてなれば、厚情更にいはむかたなし。爰の地名を並松とかや。是に興じて猶末長く因み尽せぬ事を思ひ祝して

並松の落葉かくまでと訪初ぬ 』34ウ

 此法隆寺は三十三とせに一度づゝ開扉ありて、宝蔵の什器尽し出され、貴賤相つどひて拝観する例ならし。予も兼ねて開元琴の寄古なる事を聞侍しまゝ、拝観せばやと思ふ折しも、はや其事の吹聴ありて、予に其琴を一弾することをゆるし玉ふ。予は余りの冥加にめでゝ、すなはち、太子の尊像の前に」35オ
いたり、南薫操一曲を弾奏す。実にや数千年来の古楽器、開元の遺響絃上に備り、難有さいはむかたなし。

薫る風や諸越かけて七の緒に響すゞし富の小川も松籟も
  又
異国のしらべに掛ていかるがの宮のまつかぜ吹つたふらむ
  又                         』35ウ
世々ふりし七の緒ことの音もすみてとみの小川のながれつきせぬ
  又
   
幾歳傳聞抱賞心  即今親奏聞元琴
南風和得洋峩意  賓是先王大雅音     』36オ
                            』36ウ

手折菊第四大尾                 』37オ 
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