物語学の森 Blog版 秋山虔先生の『源氏物語―その主題性はいかに發展しているか』(1950年)について
秋山虔先生の『源氏物語―その主題性はいかに發展しているか』(1950年)について
2015-11-25 Wed 04:55



 秋山虔先生のお通夜で本駒込、養源寺へ。臨済宗妙心寺派を菩提寺にしておられるとのこと。近所にも7つほどお寺が密集、江戸の面影を宿すところでした。帰りがけ、この辺りに詳しい先生の案内で観潮楼・森鴎外記念館に立ち寄り、西に見えるスカイツリーと月をカメラに収め、記憶に留めることにします。

 秋山先生の御著書は当然すべて書架に揃っていますが、最初に読んだのは、岩波新書の『源氏物語』1968年。「若菜」巻の光源氏を論ずるくだりは圧倒的な吸引力に引き込まれ、一気に読了。読後に深い感銘を覚えた一冊。もし三冊に厳選して推薦せよという問い合わせがあればこれを推します。
 そこで、『人物で読む源氏物語 光源氏Ⅱ』(勉誠出版、2005年)は、巻頭に秋山先生の

 「光源氏の王者性について-断章」(「日本文学」、日本文学協会、 1993年8月)
 
 を掲載させて頂きました。秋山先生は、室伏先生を新監修者に迎えて新装してもらった「パンフレット」に推薦文もお書きいただき、この論文の再録について、「論のことを忘れかけていた。若い人たちに読んでもらえるのはありがたい。あの頃は頑張っていたのだなあと己を奮い立たせている。読み書きをこれからも続けてゆくので…」と言う趣旨のおことばを賜りました。このことを、お焼香を待つ間、ふと思い出していました。
 
 その後、今西祐一郎先生の肝煎りで、『テーマで読む源氏物語論』(勉誠出版、2008年)のうち第1巻「「主題」論の過去と現在」に、

 「源氏物語―その主題性はいかに發展しているか」『日本文学講座』 (古代の文学 後期) 第2巻(河出書房、1950年)

を再録させて頂きました。 ただし、この論文については、友人の結婚式でお会いしたとき、わざわざこちらの席に出向いてくださり、「あの論文は武田宗俊・成立論に乗って書いたので、岡一男先生に厳しい批判を頂戴した。そのため封印しているのです」とのお言葉があり、掲載に逡巡しておられました。解題担当の陣野さんからも丁寧な企画意図の説明があったことも大きな力となって、結果的にご許可頂けました。

 秋山虔セレクション『源氏物語の論』(笠間書院、2011年)にも、前記「王者性」は収められましたが、後者は除外されています。先生がまだ 二十代の述作であることにも注意しつつ、特に 『源氏物語』研究を志す若い研究者のみなさんにはぜひとも精読していただきたい論文であると思っています。

  成立論と言えば、折口成立論の系譜を継承する先生の御著作に関わっていますが、もし機会を得られれば、この問題についての私見を提示してみたいと考えています。
 いろいろなかたちでお教えを賜りました。冥福をお祈りいたします。
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