物語学の森 Blog版 秋山先生に教えていただいたこと。
秋山先生に教えていただいたこと。
2015-11-18 Wed 23:43



 秋山虔先生が亡くなられた。最後にゆっくりお話ししたのは、二年前の学習院女子大学の中古文学会であったと思う。二日目の発表終了後、工藤重矩先生の国冬本の報告で、ボクや陣野さん、加藤昌嘉さんが質問していたこともあって、「本文の問題は難しいね。僕は書誌学の専門的な勉強をしてこなかったから」と仰り、貴重書の展観をご一緒して能因本『枕草子』や天福本『伊勢物語』を、あれこれ蘊蓄を傾けながら熟覧していたところ、院生さんたちが遠巻きにそのやりとりを聞いていた。そのまま西早稲田駅に向かい、副都心線での帰り道、「そう言えば、萩谷先生のテレビに出ている息子さん、お父さんに似てきたね~」とにこやかに笑っていらしたのだった。

 はじめて先生とお話ししたのは、昭和63年5月14日、豊島公会堂で行われた母校の学会で「王朝日記文学についての私見」と題して講演され、控え室で『王朝の文学空間』にサインを頂いた時のことだった。メモ用紙に名前を書くように仰り、差し出すと「お名前は何とお読みするの」とお尋ねになった秋山先生に、萩谷先生がボクに代って「さくかず。重箱読みだよ」と答えて下さった。その時の講演は、秋山先生も六十代半ば、その時の洗練された濃密な講演の感銘を、今でも忘れることは出来ない。

 三年前、改装なった五島美術館で『源氏物語絵巻』を見に出掛けたところ、先生がお帰りになるところに出くわした。雨模様だったこともあり、愛車にお誘いして途中までお送りすることにした。ところがどしゃぶりとなり、結局ご自宅までお送りしたのだけれど、カーナビに先生のお宅の電話番号を入力し、ご自宅までの道案内地図が出て音声で右へ左へと指示するシステムに大変驚かれていた。ちょうど、東大国文科蔵『竹取物語絵巻』の影印を刊行する前後だったので、お尋ねしたところ、先生の着任以前の購入で、おそらく市古先生あたりが購入されたのかもしれないとのお話をして下さった。他にも息子さんのお話、同世代の友人で先生が心配な教え子さんの話、執筆中の御本の話など、楽しい時間の話は尽きず、後日、賀状の添え書きに「五島美術館の帰途、忝なうございました。忘れることはございません」とお書き下さった。調べてみると、その時のことはブログにあえて書かなかったと思われ、ちょうど前後して亀鑑先生の書簡の件で池田研二先生と連絡を取っており、その文面の中に秋山先生のお名前が出てきて、2012年11月18 日のこととようやく判明。
 夕方、お亡くなりになったことを知り、先生とお話ししたあの日のことがいつのことだったか、それが気になってあれこれと記憶と記録を辿り返して日を跨いでしまった。

 2009-11-28 何をどう学んできたか。
 この時、潜り込んで拝聴していたところ、秋山先生に見つかってしまい、「上原さん は、忙しい人だからこんなところまでこなくていい」とやさしく肩を叩かれた思い出があります。

2012-12-1 紫式部学会@東京大学2012
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