物語学の森 Blog版 『源氏物語』の愛宕山
『源氏物語』の愛宕山
2015-10-06 Tue 08:41
 有名人カップルが挙式をあげたという、東京港区の愛宕山。ここは昨年訪れました。標高は25㍍とも26㍍とも言われていますが、気分的にはもっと高いような勾配でした。
 
 本家、山城と丹後の境にある京都の愛宕山は『源氏物語』にも三カ所出てくる山岳霊場。加納重文先生のお仕事もあるし、先行する論文も二本ヒットしました。さらに調べてみます。

①桐壺(明融臨模本)
 限りあれば、例の作法にをさめたてまつるを、母北の方、同じ煙にのぼりなむと、泣きこがれたまひて、御送りの女房の車に慕ひ乗りたまひて、愛宕といふ所にいといかめしうその作法したるに、おはし着きたる心地、いかばかりかはありけむ。「むなしき御骸を見る見る、なほおはするものと思ふが、いとかひなければ、灰になりたまはむを見たてまつりて、今は亡き人と、ひたぶるに思ひなりなむ」と、さかしうのたまひつれど、車よりも落ちぬべうまろびたまへば、さは思ひつかしと、人びともてわづらひきこゆ。

②横笛(大島本)

 「この笛のわづらはしくもあるかな。人の心とどめて思へりしものの、行くべき方にもあらず。女の御伝へはかひなきをや。いかが思ひつらむ。この世にて、数に思ひ入れぬことも、かの今はのとぢめに、一念の恨めしきも、もしはあはれとも思ふにまつはれてこそは、長き夜の闇にも惑ふわざななれ。かかればこそは、何ごとにも執はとどめじと思ふ世なれ」
 など、思し続けて、愛宕に誦経せさせたまふ。また、かの心寄せの寺にもせさせたまひて、
 「この笛をば、わざと人のさるゆゑ深きものにて、引き出でたまへりしを、たちまちに仏の道におもむけむも、尊きこととはいひながら、あへなかるべし」

 ③東屋(大島本)
  「などてか。ともかくも、人の聞き伝へばこそあらめ、愛宕の聖だに、時に従ひては出でずやはありける。深き契りを破りて、人の願ひを満てたまはむこそ尊からめ」
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