物語学の森 Blog版 逆行性健忘症と浮舟
逆行性健忘症と浮舟
2015-07-03 Fri 06:48
 久しぶりに平日オフ。「徹子の部屋」を何気なく見ていたら、「四季の歌」で知られる芹洋子さんも、20年前の交通事故で、外傷性くも膜下出血から逆行性健忘となり、自身が歌手であることも、持ち歌の歌詞もすっかり忘れてしまっていたという話。昨日のニュースでは、この二月に頭部に打球を受けて開頭手術を受けたオリックスの丸毛謙一外野手(26)は「急性硬膜外血腫」。再発した場合、今度は生命に関わると、現役は引退して球団職員になると言う。頭の怪我は怖い。

 先月、ICUに居たとき、両隣の患者さんはかなりの重篤であることが、看護師さんの呼び掛けや、ご家族のお見舞いから分かりました。名前と生年月日、「ここはどこか分かりますか」「今日は何日ですか」と看護師さんが来るたびに毎回聞かれましたが、周囲は反応のない方ばかりだったような気がします。むしろ、当方は一晩開けたら会話も成立する患者であったので、CTの結果も悪くないと判断されて一般病棟に移れたのでしょう。ただし、20時間ほど記憶は飛んでいます。断片的に、目の上を縫合されたことと、頭部に出血があるので、「絶対安静」を仰せつかったのは覚えています。

 最低やるべき仕事、原稿とゲラの締切、「大島本て何だっけ」と言った具合に記憶は快復してきましたが、点滴に痛み止めを入れてもらったり、心電図が胸からはずれてフラットになり、看護師のみなさんが駆け寄って来たりしました(死んだと思われたらしい)。
 
 その昔、放送大学で講義を持っていた時分、医学部教授の聴講生がおり、「手習」巻の浮舟の記憶喪失を、「逆行性健忘症」と診断したというレポートを頂いたことがありました。入水はしていない浮舟ですが、森をさまよって頭部をぶつけた設定なのか、このあたりも、完治したら考えてみることとします。あとは、網膜震盪症の快復を待つのみ。ただし、これは長くて数ヶ月かかることもあるという。不便で仕方ありません。不思議なもので、出血で視界に白い靄がかかっている部位が日毎小さく、薄くなってきています。しかも、劇的にすっきり晴れるのではなく、徐々に徐々に。身体の仕組みはまったく不思議なものですが、老化して回復が遅れているわけではないこともまた確かなようです。
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