物語学の森 Blog版 『複数化する源氏物語 新時代の源氏学7』
『複数化する源氏物語 新時代の源氏学7』
2015-05-28 Thu 07:26
 『複数化する源氏物語 新時代の源氏学7

 編者、執筆者から拝領。本文研究の現在が展望されています。ありがとうございます。
 なかでも大島本「関屋」巻本文が、大正本との親近性が高いことを指摘した上で、大島本53帖もまた、複数の親本から転写した巻巻を揃いとした取り合わせ本であることを指摘した佐々木論文は必読。こうなると定家本4帖、明融臨模本のない巻の定家本『源氏物語』を考えることは、ほとんど不可能と言うことになります。公刊されたばかりの自説をどのように修訂して次回の本に収めるのかを考えて、眼前の原稿や校閲の手が止まりました。

 この巻には飛鳥井雅康の奥書があることから、他の巻も同筆として、京都文化博物館の展示では、今でも飛鳥井雅康「自筆」とキャプションにあります。その発信源であるとされるのが池田亀鑑ですが、その認定は揺れていたことが以下の文章で分かります。池田亀鑑「佐渡と源氏物語」「歌と評論」17巻2号、歌と評論社、昭和21年10月1日を再掲すると、「桐壺」「夢浮橋」巻を除く現存51帖すべてを「自筆」とは、考えていなかったようですが、今日では池田亀鑑が雅康自筆であると認めたとする説が定着してしまった模様。
 
一体青表紙本の証本となるべき古写本は一帖二帖といつた残缺本として多少残つてゐるが、まとまつては傳はつていはゐない。雅康の写した本は、多少別筆かと思はれるものがないではないが、もし別筆があるとしても雅康と同時代の筆写にかかるもので、青表紙の一傳本を祖本として転写したものであることは、今詳しく説明する暇はないが、疑ひの余地はない。ともかくこの本は青表紙本の研究のために缺くことの出來ない貴重な資料である。校異源氏物語でも、底本にはこの本が選ばれたことを特に申しておきたい。
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