物語学の森 Blog版 池田亀鑑と『徒然草』
池田亀鑑と『徒然草』
2014-09-05 Fri 08:53
  池田亀鑑『花を折る』を折々に頁をめくっています。与謝野晶子の倒れる前日も面会していたこと、折口信夫との交流、堀辰雄の葬儀のこと、戦前戦後の文壇、歌壇、女性歌人との交流等々、読み返すとまたおもしろい。

 よく『徒然草』の箴言を引用しているのですが、とりわけ、「万事にかへずば一事の大事なるべからず」(188段)は特に好んで揮毫もしたようです。

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 おことわり*写真は原さんのブログからいただきました
 
 一事を必ず成さんと思はば、他の事の破るゝをも傷むべからず、人の嘲りをも恥づべからず。万事にかへずしては、一の大事成るべからず。人の数多ありける中にて、或者、「ますほの薄、まそほの薄など言ふ事あり。渡辺の聖、この事を伝へ知りたり」と語りけるを、登蓮法師、その座に侍りけるが、聞きて、雨の降りけるに、「蓑・笠やある。貸し給へ。かの薄の事習ひに、渡辺の聖のがり尋ね罷らん」と言ひけるを、「余りに物騒がし。雨止みてこそ」と人の言ひければ、「無下の事をも仰せらるゝものかな。人の命は雨の晴れ間をも待つものかは。我も死に、聖も失せば、尋ね聞きてんや」とて、走り出でて行きつゝ、習ひ侍りにけりと申し伝へたるこそ、ゆゝしく、有難う覚ゆれ。「敏き時は、則ち功あり」とぞ、論語と云ふ文にも侍るなる。この薄をいぶかしく思ひけるやうに、一大事の因縁をぞ思ふべかりける。
 「ある者、子を法師になして/第188段」
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