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同姓不婚と『うつほ物語』 | 物語学の森 Blog版

同姓不婚と『うつほ物語』

 先日、東アジアの思想、韓国民族文化が御専門の両先生と話していて、韓国の同姓不婚の話になりました。法的には自由ですが、因襲の壁はまだまだ厚いようです。ただし、旧三国(新羅・百済・高句麗)エリアを超えれば、同姓であっても一族とは見なさないとの説もあるとのこと。世界で一番多い姓は、韓半島と中国ともに存在する李氏のようですが、李さん同士もこの例に該当すれば問題ないようです。

 このことは、『うつほ物語』「内侍のかみ」巻に、朱雀帝が、女一宮の婿選びに際して話した懸念を、源正頼が妻の大宮に代弁する夫婦の会話に登場します。 

  (正頼)「さまこそ(十の君・今こそ)こそはしか思ひはべれど、仰せらるることありや。(朱雀帝)『なほ、さまこそは、涼の朝臣にものせられよ。仲忠は我、思ふことなむある。涼に、と思へど族の源氏なり。同じくは、仲忠に、と思ふ』 と、たびたびかの吹上の九日にも仰せられしあり。

 諸註典拠として、
『国語-春秋外伝』「晋語-四」「同姓不婚、悪不植也」 『礼記』「曲礼-上」 「取妻、不取同姓」
 を挙げています。
 源涼と女一宮は叔父と姪の関係にあり、朱雀帝にはこの規制が念頭にあったことになります。女一宮は、藤原仲忠(父・兼雅、母・俊蔭娘)の許に嫁ぐことになるわけですが、「避けられれば避けるという程度の緩やかな禁忌であろう」(新編全集②)とすべきか否か、検証してみたいと思っています。

  手前味噌ですが、自著に認めてあります。248頁。

うつほ物語引用漢籍注疏 洞中最秘鈔(新典社研究叢書 165)うつほ物語引用漢籍注疏 洞中最秘鈔(新典社研究叢書 165)
(2005/02/28)
上原 作和、正道寺 康子 他

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