物語学の森 Blog版

このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。

土壇場の執筆要項

 土壇場で執筆要項を再確認したところ、二本書くはずの論文集の締め切りが来月末だったことに気づきました。電話でのやりとりが九月で、元締めの先生の判断で一月ずれたようです。つまり、今月は一冊分の原稿のみ、それもともあれ擱筆。
 しばらく、頭休め、筆休めさせていたくこととします。
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母の孫自慢


 「信濃毎日新聞」9月6日付「建設標」。折しも亡き父の83回目の誕生日にあたります。
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荻窪で。


 荻窪で、M先生と日本酒専門店で御一緒し、新著完成のお祝いをしました。82歳、ご自身の集大成となさるおつもりのようです。記憶力抜群、まだまだ御指導頂きたく思います。      ただし、「国学院と源氏物語研究」は問題作。ともあれ、684ページ、13000円は破格。是非ともご一読願います。
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断紋




 今回の名器は、今世紀の制作にも関わらず、断紋が出来つつあるもの。弾き込むことが楽器を育てるのだそうです。合計四曲録画できました。この日だけで9時間も演奏を続けた先生、そしてスタッフのみなさん、ご苦労様でした。 なお、今回は演奏に集中していただいたため、曲に伴う歌唱はありません。
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studio 2014




 曇天の都内を横断、某所スタジオで五年ぶりの撮影に立ち会う。今日は四曲撮り終えました。
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兼好の「換骨奪胎」

 秋分の日も古典を話しました。 『徒然草』169段

何事の式といふ事は、後嵯峨の御代までは言はざりけるを、近きほどより言ふ詞なり」と人の申し侍りしに、建礼門院の右京大夫、後鳥羽院の御位の後、また内裏住みしたる事を言ふに、「世の式も変りたる事はなきにも」と書きたり。

 『建礼門院右京大夫集』

思ひのほかに、年経てのち、また九重のうちを見し身の契り、かへすがへす定めなく、わが心のうちも、すぞろはし。藤壺の方ざまなど見るにも、昔住みなれしことのみ思ひ出でられて悲しきに、御しつらひも、世のけしきも、変りたることなきに、ただわが心の内ばかり、砕けまさる悲しさ。月の隈なきをながめて覚えぬこともなく、かき暗さるる。

今はただ しひて忘るる いにしへを 思ひ出でよと 澄める月影(家集323)

 『徒然草』は「式」に関する話ですが、引用された『建礼門院右京大夫集』は、恋人資盛の死の報に接し、かつての時子後宮の栄華を偲びつつ過ごす追憶の記述で、大きく世界観、悲壮感も異なります。諸本には無窮会本に「よのしき」とあるものの、傍記に『徒然草』当該箇所が引かれている由。正徹本「此段みせけち也。私書之」。
「勘違い」というには合理性がなく、「改竄」とも呼びたくなりますが、まあ「換骨奪胎」と説明してみました。そもそも引用とは、物語文学の場合、その世界観を投影するものであるはずですが、その論理が徹底されているわけもなく、著作権などもない時代の言説編成、これもおもしろい。
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再会、そして再開




 授業再開。終了後、クラスでおみあげ交換会が始まる。15年近くになりますが、初めて見た光景でした。以前もさくらんぼクマもんクッキーを頂戴しましたが、今回は、太宰治/津軽クッキーに越後煎餅、京都の八つ橋はその場で胃に収まりました。さらに最後に残った一つも女子が笑顔で配給してくださいました。再会して再開です。
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池田芙蓉『馬賊の唄』


馬賊の唄 (パール文庫)馬賊の唄 (パール文庫)
(2014/01)
池田 芙蓉

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 池田亀鑑の小説で単行本化されたのはこの一冊のみ。その名もゆかしい桃源社版も持っていますが、いかんせん、造本に難があり、捲りにくいので、真珠書院の新装版を購入。『浜松中納言』『松浦宮』、そして『西遊記』に想を得て翻案した冒険少年小説と括っておきましょう。中国で行方不明になった父親を捜すため、主人公・山内日出男は上海から愛馬とともに旅に出て…というあらすじ。本書は桃源社版でも前編のみであって、後編には、再び冒険に出た主人公が、湖水の大怪獣の退治に向かうという話。「日本少年」、なんとか探し出して見ましょう。
 後半の共著者・高畠華肖の絵は、先日、弥生美術館で鑑賞できました。弁護士の初代館長さんがファンで、コレクションを公開しているとのこと。若き日の美輪明宏さん風の妖艶さを彷彿とさせます。

 下は地元松山の高畠華肖ロマン館でブローチにアレンジされた山内少年。


高畠華宵・大正ロマン ブローチ(馬賊の唄)高畠華宵・大正ロマン ブローチ(馬賊の唄)
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高畠華宵大正ロマン館

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偽書の合評会から論文結末の成案を得る

 日大文理学部で物語研究会例会。新著合評会のレポートを聞いていて、二週間以上書きさしで放置していた論文の成案を得ました。『先代旧事本義』『古語拾遺』、そして著者さん、ありがとうございます。

生成する古代文学生成する古代文学
(2014/03)
津田 博幸

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 二次会で、中尊寺の藤原泰衡の首桶にあった古代蓮が800年後に開花した話が出ました。心覚えに書き留めます。
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戦前の女性文学者と『むらさき』、そして折口信夫

 戦前の雑誌『むらさき』の執筆者を眺めていると、女性歌人が重要な位置を占めていることが分かります。
かの村岡花子も
 「ちりめん紙の幻想」昭和11年2月
 「健康な青春」昭和14年3月
を寄稿しています。当時の『むらさき』の版元は厳松堂書店、これは、著名な学者夫妻で知られる波多野完治・勤子家の家業だったとのことで、雑誌統合ののちの『藝苑』も厳松堂書店から刊行されています。
 また、『藝苑』でも村岡花子は座談会に参加していました。
 「研究生活と結婚生活をどう両立させるか」評論家・村岡花子、医学博士・山本杉、波多野勤子。
 6巻2号、厳松堂書店、1949年2月
 この号、池田亀鑑は「源氏物語に描かれたる三つの友情」を寄稿。この号には学生時代の稲賀敬二の男女共学についてのエッセイも掲載されています。 『むらさき』『藝苑』はいずれも編集は池田亀鑑。
 『花を折る』にも、与謝野晶子、近江満子、北見志保子ら女性歌人との交流が書かれています。後者二人はいずれもアララギ派、折口信夫の名前も頻繁に出てきます。同じく同時代有力歌人の今井邦子の歌誌『明日香』二巻(昭和11年)数冊を入手したところ、同人の歌とともに、橘純一「我が国の結婚神話」、池田亀鑑「民族的活動の方位と上代文学」、久松潜一「万葉談義」ら国文学者の研究エッセイ、平塚らいてう「青鞜時代」の連載とともに、村岡花子もやはり翻訳ものの寄稿をしています。

 折口の家について、池田亀鑑は、北見志保子の発言として、今で言えば筆禍となりそうな微妙な書き方をしています。
「博士はやはり、釈超空として、そのご家庭が寂しかったように、孤独に生き、そのことを誇りにしてをられたのかもしれない」「私の家内などは、一度お留守にうかがって、留守番のお婆さんに、追払われたやうです。あの名物のお婆さんもいい人でした」「御養子の春洋さんが戦死なされたといふことは、何としても大きな打撃であつたやうです。北見さんのお説では、家庭には主婦といふものが必ずいなくてはゐけない。男所帯の先生は食事といふことをあまりに軽く見ておられたやうだ、とのことですが、たしかにさうでせう」「折口先生をしのぶ」
 池田亀鑑と折口には、必ず間に北見志保子が介在していたようで、巷間知られる奇才折口とは別の、『むらさき』を介した女性歌人、そして堀辰雄、室生犀生ら文壇との文学空間があったことを知りました。
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