物語学の森 Blog版 2013年11月
物語学の森 Blog版
このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。
辻井喬さん
 25日、三島由紀夫の憂国忌の日に亡くなった辻井喬(堤清二)さんは二度お見掛けしました。最初は池袋のリブロ西武で。ボクの直前、両手で抱えた本を一般のお客さんに並んでまとめ買い。これは珍しい光景で、文庫や新書二、三冊なら分かりますが、一般書を十冊以上となれば、この方は文藝関係者だろうと思って、思い当たる風貌を脳内リサーチしたところ、当店の会長しかいない、としばし緊張。ところが店員さんのほうは気付く様子もなく、「ポイントカードはお持ちですか」とかなんとか普通の対応。もちろんカバンなど持っておらず、秘書さんもいない単独行動。慌ててポケットをまさぐる姿はふつうの紳士のお姿でした。調べて見ると、91年には退任なさっておいでなので、それより前のことでした。
 このリブロ近辺では、歌手の小室等さんもよくお見掛けします。いつぞやは新幹線も同じ車両でした。

 二度目は数年前の年末の受賞パーティー。角川の会長と談笑なさっておいででした。おふたりともご兄弟が複雑で本が書かれるほどの歴史的なビックネーム。このパーティーでは、いつぞや、なぜか鳩山邦夫から深々と挨拶され、なんとも言えぬ違和感を覚えたことでした。彼は「『源氏物語』は全部読んだことがないが、日本文化は大切に守ってゆくべきだ」という内容のスピーチをしていたように記憶します。かつて、文部大臣をおつとめでした。やはり、次は馳さんの時代ですね。

彷徨の季節の中で (中公文庫)彷徨の季節の中で (中公文庫)
(2009/06)
辻井 喬

商品詳細を見る

2013-11-30 Sat 09:02
別窓 | 右書左琴の巻 | コメント:0 | トラックバック:0
木村朗子『震災後文学論 あたらしい日本文学のために』、袴田光康編『『三国遺事』の新たな地平―韓国古代文学の現在』(アジア遊学 169)
震災後文学論 あたらしい日本文学のために震災後文学論 あたらしい日本文学のために
(2013/11/22)
木村朗子

商品詳細を見る


『三国遺事』の新たな地平―韓国古代文学の現在 (アジア遊学 169)


 木村さん、袴田さんから相次いで拝領。いずれのテーマも重厚な論著につき、まずは紹介から。ありがとうございました。

2013-11-29 Fri 07:43
別窓 | 右書左琴の巻 | コメント:0 | トラックバック:0
歌道の至極
  三島由紀夫『葉隠入門』はボクも学生時代に読み、三島が川端に贈った「歌道の至極は身養生に極まり候由」は、筆を持った時の手習いの時間によく稽古したものです。

 「養生」と言えば、身体の所々の危険領域とされていた数値が「/\」とここ数年で最も安定。この仕事をしていれば、過剰なストレス誰しもあれど、「ハラスメンター」は常習化するものだから、別世界に囲い込んで客観視すれば鬱病にもならずに済むはず。心身の健康に関して自分なりに気を配り出した成果も出て来たように思います。精読を始めた卜部兼好の『徒然草』の箴言も染み入る。

 ひとり、燈のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる。文は、文選のあはれなる巻々、白氏文集、老子のことば、南華の篇。この国の博士どもの書ける物も、いにしへのは、あはれなること多かり。

 歌道の至極とは「養生」に極まるもの也。
  
2013-11-27 Wed 06:06
別窓 | 生涯稽古の巻 | コメント:0 | トラックバック:0
専門て何?
 以前も話題にした三田誠広『僕って何』。70年代の若者の自己同一性を表象した名作。82年大学入学のボクも周りの人間も、青年心理学の講義でも共通の話題として取り上げられるほど浸透していました。

 時代は巡り、基本線の日本文学とのその周辺に興味関心はあるものの、生活の糧としての比率は徐々に下がりつつあることに気づきました。専門はむしろ社会人講座にウェイトが移りつつあるように思います。
 
 責任有る立場の校務に忙殺される人、学会の会務に忙殺される人、その隙間に研究している、とすると「専門て何?」これが研究者の宿命なのかもしれません。


僕って何 (河出文庫)僕って何 (河出文庫)
(2008/09/04)
三田 誠広

商品詳細を見る

2013-11-25 Mon 07:41
別窓 | 生涯稽古の巻 | コメント:0 | トラックバック:0
『当世処世気質』の時代
 『八重の桜』を観ていたら、坪内逍遥『当世処世気質』(1886年)の話題が出て来ました。徳富蘆花が文学者として出発する物語でしたが、「文学者」そのものの社会的評価がなかった時代。前途洋洋とは言えない旅立ちだっことが分かります。長谷川二葉亭のペンネームも、父親から「文学をやるなんぞ、けしかん。お前はくたばってしめい」と言われたからだと高校の国語の時間に習いました。
 
 『当世処世気質』、主人公は自堕落な医学生・野々口清作。野口清作がこれを嫌って英世と解明したエピソードは、野口英世記念館でも紹介されていました。もちろん、改名はこれがきっかけとしても、野口の済生学舎入学の時期(1896年)と小説の発表時期に(1886年)も齟齬がある上、逍遥自身が否定しているようですから、モデル論は偶然の一致のようです。ただし、野口の放蕩生活を予言したかのようなストーリーが面白い。結局、当時の社会的評価は低くとも、広く読まれ、〈文学〉の社会的価値を根付かせるきっかけとなったことも慥かです。現代も文学部の存在価値が問われる時代ですが、実学ばかりで人間の思考・思想は括れません。法学部の学生の要望にも小説ばかりでなく評論を、と言う意見がありました。そう言う価値観が横溢している今こそ、古典から学ぶ必要があるように思います。この秋長逝した橋本武先生ではないが、王朝の古典のみならず、岩波文庫の「緑」の名作を読み込む授業もしてみたいものです。

当世書生気質 (岩波文庫)当世書生気質 (岩波文庫)
(2006/04/14)
坪内 逍遙

商品詳細を見る

2013-11-24 Sun 07:08
別窓 | 右書左琴の巻 | コメント:0 | トラックバック:0
メール未着の話
 古代文学研究会の会務。メールでのお返事が届かないので、直接お電話を差し上げたところ、こちらのメールは届いていたものの、返信は未着だったことが判明。前回の物語研究会例会通知も未着だったこともあり、yahooとgooの一部にこの手の故障があるようです。心当たりの方は、この下のコメント欄に書き込みをお願いします。
2013-11-22 Fri 07:03
別窓 | 生涯稽古の巻 | コメント:0 | トラックバック:0
銀杏の季節


 晩秋の陽光に映えて銀杏が美しい午後でした。

2013-11-21 Thu 05:56
別窓 | 大学での御仕事の巻 | コメント:0 | トラックバック:0
コート
 夕方、スーツとマフラーだけで街を歩く。もはやコートが必需品の季節となりました。
2013-11-20 Wed 06:05
別窓 | 日記を物語る Blog 版 | コメント:0 | トラックバック:0
品切れ本の話

 上手な本の借り方、買い方の話をしたところ、特に分置図書の取り寄せ方は知らなかった人もいました。自分で当たり前にしていることも、分かっていると思い込んでしまうと聞いている方はちんぷんかんぷん。こんな当然のことに今さら気づきました。この仕事(為事)はほんとうに生涯稽古で完成形はありません。

 借りる本と手元に置くべき本を選別しようという話の中で、自分の関係した本を取 り上げました。現時点で品切れになっているものをまとめておきます。

アジア遊学126号 《琴》の文化史 東アジアの音風景アジア遊学126号 《琴》の文化史 東アジアの音風景
(2009/09/30)
上原作和

商品詳細を見る

 
 発売三ヶ月でほぼ品切れ。琴(きん)はやはり幻の宝器であったと確信しました。

太平記 第1巻―完訳 (1) (現代語で読む歴史文学)太平記 第1巻―完訳 (1) (現代語で読む歴史文学)
(2007/04)
上原 作和

商品詳細を見る


 一巻目だけ品切れの模様。四巻セットも高騰。

うつほ物語引用漢籍注疏 洞中最秘鈔(新典社研究叢書 165)うつほ物語引用漢籍注疏 洞中最秘鈔(新典社研究叢書 165)
(2005/02/28)
上原 作和、正道寺 康子 他

商品詳細を見る


 版元・新典社さんに問い合わせると「稀に返本があることも…」と営業M氏(いつもボクを「兄貴」と呼んで下さる学会販売の有名人)のお話。
 
光源氏物語の思想史的変貌―「琴」のゆくへ光源氏物語の思想史的変貌―「琴」のゆくへ
(1994/12)
上原 作和

商品詳細を見る


 このブックカバーはどなたかが作成して下さった模様。本文は日本語です。なお、光源氏物語學藝史―右書左琴の思想、『人物で読む源氏物語』の主役級人物の巻、それぞれ品薄の由。必要あらばお急ぎ下さい。

2013-11-19 Tue 06:42
別窓 | 大学での御仕事の巻 | コメント:0 | トラックバック:0
民友社と徳富蘇峰


  それにしても徳富蘇峰(1863-1957)は長寿の人。勝海舟の赤坂氷川邸に寄宿したというエピソードを持つ上、中曽根元総理(1918-)とまで親交があるのだから。明治20年(1887)2月、民友社を興して総合雑誌『国民之友』を発刊、三年後の1890年、『国民新聞』(後の『東京新聞』)を創刊した言論人。A級戦犯として大磯に蟄居したとのことですが、晩年も矍鑠として生きた姿はすべてやり遂げた人生であったことを物語っていると思います。

2013-11-18 Mon 06:54
別窓 | 生涯稽古の巻 | コメント:0 | トラックバック:0
| 物語学の森 Blog版 | NEXT