物語学の森 Blog版 2012年09月
物語学の森 Blog版
このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。
日中相互理解の壁

 「朝日新聞」夕刊、「昭和史再訪」は「日中国交正常化」。今日は「共同宣言」から節目の日。田中首相、大平外相、周恩來の緊迫したやり取りの記事の結びは、北京外国語大学日本学センター主任の徐一平教授のコメントで締め括られます。「40年経ってもゴタゴタが続くのは相互理解がまだ足りないから」。
 徐教授は、母校とのご縁で「交流協定十周年記念論文集」でご一緒したことがありました。ボクは「うつほ物語」の「こか」と王昭君伝承について書き、いつも辛口の萩谷先生から、「ボツにした修論より、えらく出来がいいじゃないか」と誉めてもらって、この世界でやっていけるかな、と思わせてくれた論文でした。 ボクが博士課程になった年、初めててやってきた大陸からの中国人留学生は、大学の専任講師クラスで国費留学のスーパーエリートばかり、くわえて妻子持ちで生活力もある大人の集団。学問に取り組む姿勢がボクらとは根本から違いました。
 そんな中のひとりが物静かな紳士の彭広陸教授。現在、北京大学日本語学部長。「緊張を繰り返す日中関係から、なり手がないんです」と聞かされて、日中関係の無知に恥じ入ったものでした。
 20年ほど前、日本学センターの半年間の集中講義を断ってしまったことが、かえすがえすも悔やまれます。
 緊張を解きほぐすのは、やはり人。貧困な思想の為政者批判のみならず、我々もやれるところから緊張緩和を考える必要があるように思っています。
 

2012-09-29 Sat 19:12
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『竹取』三昧の日。
 午前の古典講座を終えて出勤。あらかじめお願いしておいた某先生に『竹取物語絵巻』詞書「釈文」を音読してもらい、確認作業。読みが甘く、小一時間では終わりませんでした。『校異源氏』方式で、

 「たけ漢字をとりつつちょん踊り字、いよいよ大く(だいく)」

の業界読みだったので、時間をロスしました。来週、中下巻を行います。校正を梱包してひと息ついたところで、某社営業氏の訪問を受ける。なんどかアマゾンでクリックしそうになった本をお持ちだったのでさっそく譲って頂けました。ありがたい。

物語のいでき始めのおや――『竹取物語』入門 (新典社選書 54)物語のいでき始めのおや――『竹取物語』入門 (新典社選書 54)
(2012/07/17)
原 國人

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 久曽神昇先生の近影のお話も教えて頂きました。架蔵の『俊景本宇津保物語の研究』三巻は、久曽神先生の謹呈本。論の運びにまったく無駄のない緊密な構成の論考が並ぶ『仮名古筆の内容的研究』にも多くを学びました。合掌。

2012-09-26 Wed 07:14
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怒涛の校正。

 
6年前の今日はつま恋にいました。前から八列目位だったから、テレビに何度も映り、父から、「テレビに出るなら本業ででろ」と言われたのでした。
 今日はあの日のDVDで6年前の自分を見つけて気持ちを新たにしたあと、終日校正の日に当てました。 校正とは、妥協との闘いでありまする。

2012-09-23 Sun 19:45
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關戸家定家本『源氏物語』「行幸」巻の落札額

高木文「賜架書屋随筆」『書物展望』第五巻八号、1936年(昭和10年)8月

此春關戸の入札に源氏行幸巻一帖は寛永七年に烏丸光廣が定家卿の眞跡と奥書してゐる、いつもの筆跡と異る様に思はれたが、墨付卅九枚で三千五百圓であつた。松浦伯爵家の為家の浮舟の帖、頼政の總角の帖一ツ橋徳川家の讃岐の乙女の帖等、最近には色々と出て来る。典籍として一番高値のものは西本願寺の卅六人集の内、伊勢、貫之の二帖で何十萬圓は別として、西條松平家の貫之の堤中納言集三萬四千圓、行成の倭漢朗詠集二冊二萬七千圓、赤星家の俊頼の古今集序八萬二千圓、行成の朗詠集八萬圓、秋元家の西行齋宮集二萬七千圓、古河家の萬葉集は何萬圓だつたか覺へない。古筆典籍の高値には驚くが愛書家の氣を吐くものだ。いかに西鶴本だ古活字本だ宋版だといふも何萬以上の話を餘り聞かないから、其等の方面の古書も高値になつてよいし此後流行し高値を呼ぶは自筆本と寫本の一部だらう。之こそ一本だから。

註 為家本「浮舟」巻、頼政の「總角」巻は、名古屋市蓬左文庫、讃岐の「乙女」巻は桃園文庫を経て、天理図書館蔵。卅六人集の『貫之集』、『伊勢集』は1929年(昭和4年)分割されて「武蔵野女子学院(現・武蔵野大学)」の資金に当てられた。 

2012-09-22 Sat 15:16
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稽古の日
 夏休み最後の水曜日は琴の稽古。午前中から調絃にいそしみ楽譜と睨みながら練習。夕方から先生のお宅に伺う。足でリズムをとりながらの運指がなかなか決まらず同じフレーズを繰り返す。姿勢も大事、体力も大事の「心技体」揃って音も澄むことになるわけです。今年は秋に人前で披露することになっており、時間を作って稽古に勤しみます。
2012-09-21 Fri 09:58
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廣田收著『『紫式部集』歌の場と表現』
『紫式部集』歌の場と表現『紫式部集』歌の場と表現
(2012/09/30)
廣田 収

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 廣田先生より拝受。書き下ろしの二冊同時刊行は離れ業と言うほかありません。脱帽です。ぜひ御高架を。
2012-09-19 Wed 09:54
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特別展高島藩主諏訪家伝来竹取物語絵巻


ネット公開されていて、早くから存在を知られていた、高島藩主諏訪家伝来竹取物語絵巻。松平定信の愛娘・烈姫の嫁入り本とされ、定信の校合した巻子本伊勢物語や室町時代書写の源氏物語54帖もありました。さて、竹取物語絵巻。三巻全部が開かれ、中巻の燕の子安貝等を除く11面を熟覧出来ました。30日に講演なさる曽根誠一先生に詳細な論文がありますが、逸翁美術館本と同一の祖本が想定されるものの、錯簡で絵と本文が不一致のところもある由。図録も全巻収録で400円なり。眼福でありました。
この博物館が作った絵巻ビデオも視聴。詞書全文を一時間あまりで朗読するもの。かぐや姫の絶唱、「今はとて」の和歌は本文転化で「君をあはれ」ではなく「君をころも」。音読で気付かされました。

2012-09-18 Tue 05:22
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星野リゾート

 連休は最後の避暑をかねてまた北上しました。
 普段は空いているところを選んで出かけていましたが、今回は勝手が違い、どこへ行っても大渋滞、人の波。すすきに秋桜、すっかり秋の気配でした。 

2012-09-17 Mon 07:44
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ムラサキシキブ

 先日、練馬のちひろ美術館の中庭で見かけたムラサキシキブは色づく前でしたが、東京郊外ではご覧の通り。蝉から虫の鳴き声に季節も移り変わっていました。

2012-09-14 Fri 07:01
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時代遅れの怠け者。
 会議と授業のため出勤。某編集長先生とすれ違ったので「夏休み短すぎますよね」とご挨拶。勉強もいろいろ始めます。この夏は抜きすぎました。

 こんなサイトを見つける。読んでいない論文多数。時代遅れの怠け者にならぬよう。

2012-09-12 Wed 07:46
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