物語学の森 Blog版 2011年09月
物語学の森 Blog版
このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。
論文引用の政治性。
 最近、どうしたわけか、論文引用の方法、流儀について尋ねられることが多くなりました。投稿論文の査読も年間を通して十本以上抱えてきて、当然、引用されてしかるべき論文や学説が落ちている場合がありますが、学会誌によっては先行論文が落ちていても編集委員会をパスして掲載されることももちろんあります。所属している学閥や、所属機関等のホームグラウンドの価値観が根底にあって、露骨に政治的な仮想敵を想定している場合、これがやたら鼻につくこともあり、基本的には、こうした論文は敬遠されるべきもの。
 
 極端な例には、自分の学説と被る論文や注釈書をあえて書かずにやり過ごしてきた大家のみならず、中堅と覚しき研究者も存在することを、最近、指摘されて知りました。日本文学関係学会が国際的に認知されるためにはこのような蛸壺的思考は排除しなくてはいけません。

 考えて見ると、「うちの先生はモノケン嫌いだから、引用すると添削の時、削られる」と言う話は、昨今ではおおっぴらに聞こえなくなりましたが、ともあれ日常茶飯事でした。「こいつら叩いとけば仲間内では安泰だ」なんて思っている人も、実は、ボクに言わせれば、<「たこ」さん>たちなのです。

 そう考えると、閉鎖的な世界を開いてゆくのは、まずは啓蒙なのかもしれません。
 
2011-09-30 Fri 08:22
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相撲の節には詳しいはずですが。
 先週は台風直撃により、休講となった全授業が始まる。連絡用のポータルサイトに「7月提出のレポートを出していない人がいて大変怒っています」と書いておいたため、怖い顔をして入ってゆきましたが、当事者たちはニコニコしながら、「こんにちは~」。
 「後期のレポートは、キョウムカを受け取り窓口に指定しますから」「え~」。

 夜は昨日は学部長就任の先生のお祝いの会、今日は『小右記』の会と二日続けて慶應。長和二年(1013)七月十九日条。翌日分はボクがレポーター故、一言も聞き漏らすまいとメモを取りました。「相撲の節」の次第は下記に書いたので詳しいはずですが、まだ分かっていないところあり。勉強します。


小右記註釈(全2巻)―長元四年
2011-09-29 Thu 07:28
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まずは隗より始めよ。
 月曜日も始動。答案を返却し、レポートを受け取る。演習では「夏休みの日記」を読む。小学生の夏の宿題みたいではあるけれども、いずれも効果があることなので続けています。
 前者はあまり手に取らない新書や文藝文庫を買ってもらうこと、後者は、自分を語ること。合宿中の写真なども楽しいもの。当然、こちらも率先して、先日来の数日の記事を読む。「…経済史」では、「これは大丈夫かな」と問いかけたところ、さすが法学部、専門的なレベルでチェックしてくれ、特定困難なことだから問題ない、と言う意見と、読んだ人が不快、不名誉と感ずるならこれは「親告罪」なので NG と言う意見とで見解が割れる。もともと、当局から「警告」されてもやめない人なのだから、何を言っても無駄と言えば無駄なのですが、この議論は大いに勉強になりました。このところ、よく勉強もしないで法律的なことを言う人がいて、辟易することがあります。『六法全書』はさすがにむずかしいけれども、これだけ情報が溢れているのだから、「やさしい…入門」等のサイトで必要なことがらはチェックは出来るはず。「まずは隗より始めよ」ですね。

 註:この『戦国策』の故事は意味が転用されているので、ご用心。

2011-09-27 Tue 07:35
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加藤昌嘉著『揺れ動く『源氏物語』』



 校閲第二稿が届き、終日データ修正中。そこに加藤さんから『揺れ動く『源氏物語』』(勉誠出版、2011.9/\4800+税)拝領。首を洗って待っていましたが、やはり、サダカズ君もサクカズ君も滅多切り、快刀乱麻を断つの感ある、しかしながら、外連味のない、清冽な論集に仕上がっていました。ありがとうございます。
 御覧のような、ゲラの状態につき、詳しくは書けませんが、「現代文読解力・論理的説明力」なるボクへの批判には、「作業仮設」と「検算力ですよ」と答えておきましょう。

 定家本系統、河内本系統、そして別本、二系統三分類の成立過程は、
まず、源氏八本、源氏廿一本の取捨選択本文である 「河内本」を除き、
 定家本が書本にしたのは、俊成本(とされる)。俊成本より以前の本は、青表紙本ではないので、三つのカテゴリーのうち、残るは「別本」、それも古伝本系別本でしかあり得ない、と言う「作業仮設」。
 つまり、青表紙本は、別本をもととしているのだから、同じグループで、「河内本」と対置させると言う論理。

 所詮、本文系譜の策定は厳密に分類すればするほど、齟齬が生じると言う振れ幅が大きいデータの集積なので、あえて、ざっくり示しておこうという考え方。だから、「作業仮設」と「検算力なのですよ」と答えます。

 『源氏物語の本文』の著者、阿部秋生先生には、はがきを一葉頂いただけで、質問も叶いませんでしたが、どのようにお考えだったのか。萩谷先生は定家本『土左日記』の恣意の改訂を例にして、「源氏なんて平安時代の古典としては読めたもんじゃないよ」と言うのが口癖でした。つまり、「杜撰な写し」と言われる別本の中に、平安時代が透かし見えると言うことのようです。詳しくは、拙著に書き込みましたので、乞うご期待。

 
2011-09-25 Sun 05:37
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加納重文著『源氏物語の平安京』
昨年のちょうど今頃、「紫式部越前の旅」をお手配下さった加納重文先生から『源氏物語の平安京』(青簡舎、2011.09.15/\2500)を拝受しました。ありがとうございました。私家版の前著の増補だそうで、楽しくもあり、きつくもあった越前の山越えを思い出しています。大河ドラマ『お江』のルーツ浅井長政もこのあたりに居城しており、琵琶湖周辺に少し明るくなれました。

 加納先生は、昨年の学会でシンポジュウムの司会までなさっておられたのに、これを限りに退会なさっておいででした。最後の奉公のおつもりだったのですね。これもまた、ひとつの学究のあり方として、人間の生き様、引き際を示してくださいました。

2011-09-24 Sat 08:19
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他山の石の経済史。
 会議デー。最後は科研の執行説明会。「不正使用防止」と繰り返されると、そんなに悪いコトする人いるんですか、と言いたくなったけれど、かつていましたね、そんなオジサンが…。
 昨日、嵐の中を帰宅したら、忘れかけていた、いわゆる「他山の石」先生から、不幸の手紙?が届いていました(爆)。このところ音沙汰がなく、「やっこさん、ついにくたばったかな」と思っていたところではあるけれども、無事に勤め上げていたら今年度で定年だったはず。まだ枯れ(涸れ)てくれません。大学で会議を終えて一息ついていると、女性課長がニコニコしながら、「先生、また来てますよ」とレターボックスには入れられないためか、大学バージョンを手渡ししてくれました。
 「他山の石」さん、1995年頃、誰かがパスした仕事の穴を埋めてお付き合いが始まったのですが、いつも適当なことばかり仰るので、こちらも半ば「てきとー」なお付き合い。その後もほそぼそとお付き合いがあり、と言うか、忘れてくれず、十年後、ビッグプロジェクトの「裏方に徹する」と何度も言うのでお付き合いしたら、今度は極端に連絡が取れない人になっておられました。ここで完全に怪しいと判断したところ、それからがたいへん…。その後、まずは、信頼のおける方とのみ、コラボするきっかけとなったわけですが、その中のとりわけ大人の先生の名言「男の嫉妬は女の嫉妬より醜い…」。肝に銘じます。

 この「他山の石」さんも、かつて『傳來史』なみに来歴を調べ上げたことがあるのですが、不動産投資と学資保険と称して、バブルの頃、1400萬円の借り入れを旧住宅金融機構からしたことが、ローリングストーンの始まり。きちんとした恒産があっても、都市銀行は貸してくれない無理なものだったと言うことでしょう。この時は金利最高の時で、月の支払いは20萬円弱という信じがたい高利。直後、家庭争議で、転職先を追われ4年間のフリーランスに。この間、企画を次次に立ち上げ、まだ元気があった業界で糊口を凌ごうとしたようです(ただし、お小遣い程度)。その後、元同僚が還暦過ぎて結婚なさったご主人のコネで再就職。ここで好き勝手やり過ぎて約10年でまたアウト。別宅にお住まいの奥様に年金全部持って行かれる事態に。この間、どうしたわけか、約8萬円に下がっていたローンの滞納が始まり、家に職場に督促の電話がかかっていたようで、だから連絡とれなくなっていたことが後日判明。この間、ボク以上に迷惑を蒙っている人多数。仕事が遅延しただけで、たいへんな文書が届いた人もあると聞いています(苦笑)。結局、整理回収機構に起こされた債権回収の申し立ては地裁の和解勧告に持ち込む。ここでやっと奥さんにあれこれカミングアウトして450萬円を出してもらってなんとか完済し、かろうじて手にした不動産物件の月々のわずかな賃料を元に、おひとり様でお暮らしのよう。この春には北国のとある町の統一地方選で頑張っておられました。182人の方、わざわざこんな方のためにご苦労様でございました。キョウタク金なるものは政令指定都市以外にはないんですね。勉強になりました。


2011-09-23 Fri 07:05
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嵐の旅立ち。
 台風直撃。ひょっすると授業打ち切りか、と言う悪天候。兼任先初日の故、緊張して出かける。答案を返却したところ、「今日は早く終わってくれ」などと言うので、「親の払ったくれた授業料分のもとを取れ」とかなんとか、それなりに乗り乗りとなったところで一時限目を終える。すると、午後の授業打ち切りの校内放送。同僚からも連絡が来て、それなら立川の叔母の見送りにと西へ一直線。退院手続きをし、叔父の見舞い以来二十数年ぶりの養子さんと合流。養子さん一家が持参した宮城のコシヒカリをお世話になったご近所さんに挨拶がてら配って回ると、台風直撃の横殴りの雨の中、近所のみなさんが、叔母の旅立ちを見送って下さいました。母が子どもの頃から知っている、とは言っても還暦前後のおじさんも別れを惜しんで下さり、しみじみと人情のありがたみを知りました。
 足下のおぼつかない老人の手を取ったり、抱き起こして立たせたりするのは初めてですが、これは大変なこと。主の去った家でひとり位牌として残った叔父のために線香を立て、二時間ほど滞在し、さて我が母を送るため、嵐の中を立つ。これが帰宅困難民予備軍の悲しさ。次々に交通手段がなくなる中、大宮駅目前で長野新幹線運転打ち切りを知る。あわてて引き返すも、なじみの店はみな閉店。普段は小一時間の大宮から二時間半かかっていったん帰宅。しかし食事先で携帯を忘れていたことに気付く。そんなこんなで家に戻ったら九時半になっていました。やれやれでした。

2011-09-22 Thu 12:37
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土瓶蒸しの味。



 立川に住む叔母が90歳を過ぎて、骨がもろくなって寝返りを打つだけで骨折するようになり、姉妹で色々思案した結果、仙台に住む養子さんに面倒を見てもらうことになりました。叔父はボクの学生時代に癌で他界しており、虎ノ門病院にお見舞いに行ったことを覚えています。叔母の病院(叔父が亡くなったところでもある)には通勤の途中と言うこともあり、何度か見舞いましたが、夫妻で旧農林省に勤めていただけあって、受け答えは確りしています。
 そんなわけで、上京した母と「和食の王様」なる看板の割烹、寿司屋さんに出向いて秋の美味を食す。いろいろ考えるところあるのはその故なり。

2011-09-21 Wed 05:36
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このごろ思うこと。
 若い若いと思っていたボクも半世紀弱生きてきて、先日の研究会も年長組10番手くらいとなりました(4.5五番目の時もある)。この間も同じ年の社長から「ボクも50になりますから、いろいろ考えることがあります」と言われて、ちと考えるところあり。そんなところへ、ここのところ、毎日チェックしてしまうのが、このブログ。ふたつほど年上の方ですが、毎回お子さんのことに触れてあって、ここが気になるところ。
 今日は震災関連の番組が目白押しで、お母さんを亡くした子どもたちのレポートがとても多かったような気がします。自分でも何かできることを、と考えても、やはり、研究か、いやこれは二番手で、やはり、目の前の学生諸君に何かを伝えることだと考えています。


2011-09-20 Tue 07:46
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鈴木重嶺と『源氏物語』
 鈴木重嶺の画像使用許可の件で、再び深沢秋男先生のご教示を仰ぐ。深沢先生は、このように紹介して下さいました。ありがとうございます。この夏は『源氏物語』の傳來に携わった人々を訪ねた日々であったような気がします。新しいところでは、『むらさき』連載の「『源氏物語』の人々」も単行本化される由。月刊誌はなくなってしまったけれども、別の方法で、研究に携わることの意味を伝えてゆかなければ成りません。

 学習院での物語研究会は盛会でした。二次会も二十人超。11時近くに「もう一軒」チームがいたことにも驚きましたが、いずれにせよ、元気が出た一日でした。

2011-09-18 Sun 09:57
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