物語学の森 Blog版 2010年03月
1988年11月11日金曜日。
2010-03-31 Wed 12:29


1988年11月11日金曜日の学部の日本文学特殊講義は「本文解釈学」。講義終了後の一こまです。
ボクは講義開始後30分以降の遅刻を認めず、欠席扱いですが、先生は「遅刻してきた人!」と声を掛けて招集し、時に履修者の体調を気遣う発言も聞こえてきます。教員採用試験の合格報告をするゼミ長さんも映っていました。

 先生の講義は、池田亀鑑の『古典の批判的処置に関する研究』(岩波書店、1941年)を傍らに講義なさっておいででした。のちに『本文解釈学』(河出書房新社、1994年)に結実する内容ですが、すでにその「方法論」は理論体系化され、完成の域に入っている感があります。
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これでも怒らない。
2010-03-29 Mon 09:00
 曇天。書斎の地デジ対策のため、予想外の出費につき、自宅で地味な春休みを過ごします。
 一昨日注文した古本が届いていたのですが、素人古本屋さんらしく、「年金機構」の封筒を再利用してテープで貼った上に、送り人名、領収書も入っていないばかりか、カバーは買ったままの状態で、どこで買ったかも分かると言う、これまでの流儀とはまったく異なる展開に驚く。本は美本だし、1円に送料だけとは言いながら、もう少しサービスした方が良いように思われました。これならレビューでボロクソ書かれてしまうでしょうが、ボクは穏便に済ませておきましょう。教育関係者ではないのだから、と言う理由で。
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さくらビール。
2010-03-27 Sat 15:36


 都内某所で咲き始めたばかりの花見を敢行しました。雨で寒かったのですが、さくらピールは本当に桜の味がして美味でした。
 積ん読状態の谷沢永一の著作をいくつか紐解く。関西の近代文学とは全く縁遠い世界と思っていたら、大学院で習った先生やお酒をおごってもらった先生まで登場。世の中の狭さに唖然としたのでした。谷沢氏の仇敵として酷評される先生がこの著者と「合わなかった」ことは、生前の先生のお言葉の端々から窺っていました。中に、こんなに口の悪い著者からすら「世間知」に長けていると評されていた盟友の先生(こちらも故人)と大学院の納会でお尋ねしたことがありました。「なんであんなに谷沢さんを嫌っているんですか」と。盟友の先生のお答えは、確か、「もともと生真面目な先生だから、谷沢が夜学にまで時間割を詰めて組んでいるために週一日しか出講せず、会議にも出ないのに、大事な決定は意のままにしていたため、当然、先生が快く思っていなかったんだよ」と言う説明でした。学内学会の経理と編集を独占したとか、特徴のある筆跡のことなどリアリティーもあるものの、故人に反論できません。若いときに昇格人事で頭を押さえつけられていた時の報復と言うことでしょうか。要は、「生き残った者が勝ちの物語」の典型というわけです。
 そんなわけで、ボクも老後に備えて(笑)、今年のジムは週二回を心掛けることに致しまする。

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記憶が蘇る。
2010-03-25 Thu 08:45
 雨。国立国語研究所に始めて出向き、発表三本を拝聴。「論より証拠」とはまさにこのこと、目から鱗が落ちるような見解が次々に披露されたのでした。
 帰り際、「講師室でご一緒しました」と司会の先生にご挨拶される。記憶力が自慢の当方が、失念していた当時の記憶が蘇り、また自身の「自信」を「過信」ではないかと戒めつつ帰宅しました。
 
 帰宅途中、発表者のお一方と共に過ごしたことのある研究室に、池田亀鑑がラジオに出演したときの音源が無造作に置かれていたことを思い出しました。恐れ多くて一度も聞くことはなかったのですが、今となればたいへんな痛恨事。軽井沢で、堀辰雄の葬儀の際の折口信夫の弔事を録音したレコードを観たことがありますが、それにも匹敵するレア音源、なんとか探し出したいと思っています。

 手がかりを探索中、林真理子さんのお母さんも池田亀鑑の『源氏物語』講義を受けていたことを知る。池田亀鑑を知る人からあれこれ聞き取り調査をしたいことが山ほどあります。今年の課題の一つです。

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目の前のマッターホルンがまだなのです。
2010-03-24 Wed 10:04
 先日の突風で書斎と書庫にしている旧家のアンテナが倒壊。ところが業者に依頼が殺到しているらしく、なかなか順番が回ってきません。この際、通信環境をアップさせようと考えているけれども、その相談電話すら一週間待ちらしい。まあ、アナログテレビが映っているから、近所の子ども達に我が家の前で遊ぶときに気をつけるよう伝えておけばよい。
 この所、旧友が会いたがっているらしい、と人づてに聞かされる。賀状の内容からして、身辺に変化があったものと言うことは容易に推察されますが、子どもの学費にも事欠いていたような暮らしぶりを聞かされていたから致し方ないところ…。とは言ってもこちらもそんな話を聞いている余裕はまだないと思っているからです。下記の歌詞の如くに。
 折り返し点…。されど女性は強し、とは至言の春です。
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益田勝実と島田公鑑。
2010-03-22 Mon 08:32
 日曜日の新聞を開く。いつも最初に訃報欄に目が行くのは職業病かも知れませんが、そこに「益田勝実」の名前を見つけて、感慨深いものがありました。
 法政を辞されてからは、病気で倒れられたこともあって学会でもお見かけしなくなりましたが、お書きになったもので未見の文章は、必ずメモをして図書館で検索しては読んでいました。
 約20年前、母校で開催された日本文学協会研究発表大会で『うつほ物語』の内侍督巻に、未詳とされていた「金剛太士」の説話が、『覚禅鈔』所引の『大乗毘沙門経功徳経』(のちに愛知の七寺から原本が発見されました)に典拠があることを発見して口頭発表したのですが、その時に益田さんもお見えになり、何を言われるかと内心びくびくしていたのですが、無言のまま、同行の姪御さんと立ち去られたのでした。
 その前年だったか、和光大学の日文協で「三谷君の言う『王権』は、私にはさっぱり分からないのであります」ときっぱり述べられたことも、強烈な印象として記憶しています。
 1991(平成3)年3月、萩谷先生が定年を迎えられ、池袋で二松学舎の卒業生を加えた拡大「赤堤会」が催されました。塚原鉄雄先生や、佐々木理事長、雨海学長まで参加した盛大な会でしたが、やはりメインは益田さんのスピーチだったと思います。
 戦後、益田氏が主宰していて、後に日本文学協会古代部会に発展継承されることになる日本文学史研究会の「日本文学史研究」では『紫式部日記』に関する詳細な人物考証を発表していた益田氏が、「歴史社会学派」を牽引しつつ、民俗学的な志向性を強めて、後年「実証主義」を捨ててしまった経緯を「先生と同じ事をやっても仕方がないからだ」と回顧されたのでした。
 その後、東大で同窓だった中村義雄先生の葬儀(1993年3月)でお見かけしたのが最後と言うことになります。

 もちろん、先生の講義ではその令名を常々窺っていましたが、中でも『土佐日記』冒頭の「解由などとりて」とあるくだり、紀貫之の後任の土佐守が島田公鑑であることを『外記補任』に発見したのが、当時、先生ご自宅の二階に下宿していた益田氏だったと言う話は必ず出ていました。先日、お借りした13本の講義ビデオのどこかにこの話は残っているかも知れません。
  
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勝亦志織著『物語の〈皇女〉 もうひとつの王朝物語史』
2010-03-21 Sun 08:20
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 快晴のち突風の一日。出掛ける直前に上記の本を拝受。『人物源氏』でもお世話になったので、「お祝い」を用意する。バスが渋滞の上に外気温が上がり、蒸し暑いくらいの土曜日、今日も明治のリバティーで「物語-和歌と皇女をめぐって」。
 今後、〈皇女〉は〈女房〉とともに重要なテーマとなることを予感させます。『発心和歌集』は『源氏物語』と同時代の作品ですが、源氏的なるものの面影すら感じられない。大斎院の彰子後宮との関係性を勉強しておかなければいけないと思ったことでした。ここ数年の拡大路線から、会の始発を彷彿とさせるテーマに戻したところ、そうすると参加者も多くなることがよく分かりました。
 
 今月で事務局も交替。強烈なキャプテンシーと言えば聞こえはよいけれども、平たく言えば暴君的なところもあり、これは職場や家庭ではなさらぬよう。議長を脇に自分がぎちょーはいけません。
 その昔、先生を車で世田谷の赤堤までお送りしていた頃、「家庭が円満に出来ない人間は研究も大成しない」と繰り返し諭されたため、慎重にならざるを得なくなったわけですが、自戒を込めてこれは書き留めておきましょう。
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三橋正著『古代神祇制度の形成と展開』
2010-03-20 Sat 08:06
古代神祇制度の形成と展開古代神祇制度の形成と展開
(2010/03/05)
三橋 正

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 火曜日、野田で『源氏物語』講座。5月15日に開催予定の永井先生の講演会に関しても打ち合わせ。
 水曜日、浦和のサポート校で小論文講座の後、黒板・永井ご夫妻をお訪ねする。同行者は上記の本を献呈なさっておいででした。その後、慶応で『小右記』。「越後守為時娘」の出てくる条なのですが、そのことよりも当日の出来事の復原に重きがありました。
 木曜日、本庄市内の高校で小論文講座。そして夜は卒業式を控えたゼミ生さんたちと渋谷でお別れの会。明日は朝から着付けだとか、食べ過ぎるとお肌に良くないとはいいながら、お皿はすっかりきれいになっていました。
 金曜日、明治で「『源氏物語』と音楽」シンポジューム。宣伝不足を気になさってか、小さめの教室でしたが、実際はやはり大盛況。受付した人だけで120名。担当さんが聴講者がお見えになる度に空席を見つけて詰めて頂きました。論集の計画もあるので、そちらも楽しみに完成をお待ち下さい。
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コートをおいて。
2010-03-16 Tue 07:43
 曇天。ただし、気温も上昇したのでコートなしで会議へ。今日も半日缶詰となるも、開設初年度と言うことで念入りに打ち合わせです。質疑応答も緊張感が漂っていました。
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源氏語り54帖-千秋楽。 
2010-03-15 Mon 09:00
 彩の国芸術劇場は自宅から西へ30分くらいの至近。ここで九年にわたって読み継がれて来た『源氏物語』54帖。母が軽井沢の大賀ホールで行われる幸田さんの朗読にはよく出掛けています。
 「梅枝」の薫香、「女楽」…、楽しいひとときを思い起こします千秋楽にふさわしく、拍手と桜吹雪の中のグランドフィナーレでした。

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朗読幸田弘子

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