物語学の森 Blog版

このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。

飽和状態。

 雨。午後から屏風歌註釈二首。
 それにしても今年ほどたくさんの本を頂戴した年はありません。物語も論文も、それぞれ精読されるのには時間が必要であり、今年、物語を読み始めた人にとっては、これを読み通した来年以降こそ、ほんとうのおもしろさがわかってくるのではないでしょうか。来年は正月からアニメも始まるし、本物の研究成果の結実も、すべては、将来を見据えた研究展望を持つことが大切であると思います。たんなるいっときの受けねらいではなく。研究成果にも不易流行があり、淘汰されるものもある。自分の書いたものが人々の記憶から忘却されることのないように。
 この秋、お勧めの一冊。


読む源氏物語読まれる源氏物語読む源氏物語読まれる源氏物語
(2008/09)
吉井 美弥子

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完成目前に。

源氏物語を読むために (平凡社ライブラリー)源氏物語を読むために (平凡社ライブラリー)
(2005/04)
西郷 信綱

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  西郷信綱先生逝去。上記の本から抄録した論文を掲載した本が月曜日に完成予定でした。校正も先生御自身の手によるものと聞いており、先生の感想がお聞きしたいと思っていました。今こそ西郷さんの著作を、今こそわたしたちは読まねばならないのだ思います。著作集が出たら全巻揃えます。
 

古事記注釈〈第1巻〉 (ちくま学芸文庫)古事記注釈〈第1巻〉 (ちくま学芸文庫)
(2005/04)
西郷 信綱

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「幻の伝本」の出現/千年紀の稀に見る僥倖

20080927071452


 来週は学会につき、出版社のみなさんは遅くまで残ってがんばっておられるようです。そんな中、まこと垂涎の影印本が刊行されることとなりました。パンフレットを作成すると言うことで、ボクも紹介文を認めることになり、慌ててメモを取ってみました。
 この本については何度も触れていますが、興味のある方はこちらをご参照くださいますよう。

本文史学の展開/言葉をめぐる精査 (テーマで読む源氏物語論) (テーマで読む源氏物語論 (2)) (テーマで読む源氏物語論 (2))本文史学の展開/言葉をめぐる精査 (テーマで読む源氏物語論) (テーマで読む源氏物語論 (2)) (テーマで読む源氏物語論 (2))
(2008/06/12)
上原作和

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光源氏物語學藝史―右書左琴の思想光源氏物語學藝史―右書左琴の思想
(2006/05)
上原 作和

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新美哲彦著『源氏物語の受容と生成』


源氏物語の受容と生成源氏物語の受容と生成
(2008/10)
新美 哲彦

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 水曜日。大学の授業が総て一巡。毎年恒例、演習の卒業写真の日程も内定式などで来られない人の話を聞いて決めました。それにしても、いつものように話しただけなのに、緊張感から解放されたらどっと疲れが出てあつと言う間に就寝。
 
 木曜日、岡山にご栄転の新美哲彦さんから『源氏物語の受容と生成』武蔵野書院 拝領。
 学部・院生時代から小松茂美さんの講義をなさっていることを先生方から側聞しており、書誌研究を志しておられたようです。そういえば、扉の裏に記された献辞にまつわるお話を、昨今の文献学のお話の折、泰斗A先生からお聞きしたことがありました。「君でも知らないことがあるんですか」と驚かれたけれど、実際はまだまだ知らないことだらけなのですが…。

 さて、新美さんの御本は内容も秀逸。『源氏物語』の系統論に新機軸を提出され、科学的なマッピングを示してくださいました。 『うつほ物語』にも重要な論文もありますが、これは次作と言うことでしょうか。充実の一冊。ぜひ手にとってご覧ください。
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横浜の『源氏物語』

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 秋分の日。横浜の『源氏物語の1000年展』へ。京都とはずいぶんと展示品が異なり、こちらはこちらで眼福。それにしても九曜文庫は凄いですね。写真はこの二十日に書かれた最新の『源氏絵』。
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パンフレット。

20080923003930

 
 大学新学期初日。まず試験を返却して成績を確認。スタートのエンジンは徐々に暖めて行きましょう。夏期のレポートでは横浜の『源氏物語』展に言ってくれた人もあるようで、読むのが楽しみになってきました。
 帰宅すると、『テーマで源氏物語論』のパンフレットが出来ていました。こちらもよろしくお願いします。
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大漁旗のゆくへ。

20080924060247

 2003.08@高知にて。
 台風の谷間の曇天。日大文理学部で物語研究会例会。発表を聞きながら、「紫のゆかり」の話を今度のテキスト版からはずしてしまったことを後悔する。これが仕上がったら、「紫のゆかり」の本を提案してみようと思い立ったのでした。また『栄華物語』の報告では、初めて見る文献を示されて、まだまだ知らないことばかりだなぁと、その頑張りに感心する。
 二次会、ボクが事務局の時代に贈呈された「モノケン大漁旗」の行方が話題となる。引継のときにクリーニングしてお渡ししました。伊豆稲取の大会まで掲げて居たような気がしますが、いつの間にか見かけなくなり、現事務局さんにはついぞ引継がれず、どこかに眠っているらしい。これを読んで思い当たる事務局経験者さんは押入を探してみてください。
 研究成果が豊漁となったことを、天国にまで見渡せられるように…。
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大い君・中の君(中の宮)。

 台風接近。テキスト版の三校。
 宇治十帖の女君の呼称について、関根賢司さんから教えていただいた、「×大君」を「大い君」に、「中の君」「中の宮」「八の宮」そして、「匂宮」を統一しながら進める。
 詳しくは、関根賢司「人物呼称私見」「むらさき」55号、紫式部学会/武蔵野書院
を参照ください。要は、紀貫之と書き、紀の貫之とは書かないように、無表記と要表記の使い分けの問題です。
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クイズ$ミリオネアと『竹取物語』。

 夜、何気なくテレビを観ていたら、クイズ$ミリオネアに北野武さんが登場。\1000万円ゲットの難題はかぐや姫が地上にいた日数を問うものでした。選択肢は、A=20日、B=2ヶ月、C=2年、D=20年で、もちろん、Dが正解。武監督はAと答えていたかな。毎年、偽の答えをひねり出すのに四苦八苦するので、こちらの「テク」にも注視していました。

 『竹取物語』の求婚譚は三年括りで、五人のアタックと御門の求婚の三年弱を、継起的に書かれたと読むか、同時進行で行われたと読むかで、年数のカウントも変わってきます。
 かぐや姫の発見~養育期間を三カ月以上の「α」として計算すると、
 求婚譚継起説に立つなら、α+5人×3年+1人×3年=18+α年
 求婚譚同時進行説なら、  α+3年+1人×3年 = 6+α年
となり、研究史的にも見解は割れています。また柳田国男は、これを説話の「自由領域」として、合理的な解釈そのものを廃しています。ただし、本文には、竹取の翁がかぐや姫を迎えにきた天人に向かって「翁、かぐや姫を養ひ奉ること、廿余年になりぬ」と情に訴えかけて地上に留めようとしていますから、ミリオネアの正解は、他の選択肢が問題にならないこともあって、穏当な内容だったと言うことになります。 くわえて、求婚譚はそれぞれ前の求婚譚を受けて書かれると言う前提が記されているので、物語内容としては正鵠なのです。
 武さんは、「二十年もかかったら、もともと翁は爺なんだから(この答えはあり得ない)」とも話していました。確かに、翁はかぐや姫に結婚を勧める時には「七十歳」で、クライマックスでは「五十歳」とも記されており、前者は誇張表現と解釈し、狡猾な翁像を論じている方もあります。
 と言うのも、ボクはこの問題を、修士論文で取り上げており、『竹取物語』本文の異同から証明しようとしていたことがあったので、関心ひとしお、と言うわけなのでした。
 この物語の諸本については、近々、最新の成果続々と出版されるようで、今から楽しみにしています。
 
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『読む源氏物語読まれる源氏物語』

 吉井さんから、ご自身の集大成『読む源氏物語読まれる源氏物語』拝領。 美麗なカバーにつき、折を見て再度紹介させていただきます。今年は千年紀につき出版もラッシュですが、その白眉となる一冊。ありがとうございました。

読む源氏物語読まれる源氏物語 

宇治八の宮の琴について論じられていたので、こんな琴韻を聞きながらは如何でしょう。

琴はさっそくメンテナンス完了。ただし、DVDはハードディスク交換へ。
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