物語学の森 Blog版

このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。

十年目の銀杏並木。

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 週の前半は大学での講義。昭和45年(1970)の記録映像を見ながら、昭和という時代を考えます。
 火曜日の週末は、恒例、「うつほ物語」国譲中巻を読むために、すっかり陽が落ちた國學院へ。途中、あと少しで駐車場と言う常陸宮邸脇の路地裏で、三十代の女性が犬を連れて散歩していたのですが、なんとその犬がボクの車の前で蹲ってしまい、しばらく立ち往生。
 「こんな時間に散歩かよ」と思いつつ、
 「大丈夫ですか~」と間抜けな声を掛けたボクでした。見れは、どこかでお見かけした顔…。才媛で知られる有名タレントさんではありませんか。散歩の時間も人目に付かぬようにしなければならないなんて、なんと「所狭き」御身なことかとちと同情。
 さて、「うつほ」の輪読は、「袷の袴」のモードに話題が集中。『源氏物語』ではかの常陸宮の娘・末摘花のくだりにのみ現れる装束だと言う。
 なんとも常陸宮に御縁のある日であったことです。
 写真は、色づいた青学の銀杏。この光景も数えてみると、なんと十年目の景となっていたのでした。
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源氏物語の武田成立論。

 快晴。午前中、原稿を書いてから、共立女子大学の日本文学協会大会へ。急遽、代打のシンポジストとなった松岡さんの奮闘に元気をもらう。
 『源氏物語』を題材にした現代ミステリーが、武田宗俊、風巻景次郎らの成立論を用いて『源氏物語』の成り立ちを描いている傾向がよく分かりました。最近の源氏研究、特に成立論は、作家を惹きつけるような魅力ある仮説が出ていないからかも知れません。
 ボクの最近のご贔屓は、柴田よしき『小袖日記』。

小袖日記 小袖日記
柴田 よしき (2007/04)
文藝春秋

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源氏物語の本文史。

 都内で所用を済ませて、國學院大學で行われた、『源氏物語』本文の共同研究プロジェクトに顔を出させていただく。豊富な資料を全国から参集した豪華な研究者の発表が目白押し。報告書や関連出版もあるようだし、時間を見つけて文庫周りをしたいもの。
 急を要する原稿がいくつかあるので家路を急ぐも、車だったため、一時間弱のところ二時間半かかってぐったりする。世間では連休ですからね。

 角川学芸出版の高橋さんから、瓜生中『知っておきたい日本の神話』を頂戴しました。時間があると関東近県の名跡を日本史の若き泰斗と回っているボクですが、神社と神様はとんと疎いことを自覚しています。このシリーズで勉強させていただきます。いつもありがとうございます。
知っておきたい日本の神話 (角川ソフィア文庫 361) 知っておきたい日本の神話 (角川ソフィア文庫 361)
瓜生 中 (2007/11)
角川学芸出版

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音楽は平和の使者。

20071123160845

 木曜日。鹿島灘の見渡せる高校で、模擬講義「源氏物語の音楽史」。スタッフのチーフさんがボクを贔屓にしてくれていて、このあたりにはよく伺っています。昨日は、千代田区内の名門女子高校で、大学出張講義のガイダンスを行ってきたと言うことでしたが、なんとタイトルがボクとまったく同じ講義あったとのことで、「○×△◆大学の○△◇先生はご存じですか」と尋ねられる。
 「…よく知ってるよ。…比較されたら困るから、今日は見学ナシにしてね」
 この日は乾燥していたこともあって、琴の調子も最悪。でも喜んでいただけたようで、なにより。美しい夕焼けに癒されつつ帰宅。
 金曜日。余明先生のスタジオ。まず琴をメンテナンスしていただく。さらに「酒狂」。音感教育を受けなかったボクは、リズムがダメ。
 「リズムは合奏の基本。みんなで合わせるのに、ひとりで先に行ったら困るでしょ。合わせれば心も安まる。みんなの心がひとつになる。音楽が出来れば戦争なんてない。音楽は平和の使者なんですよ。」
 

 
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敬語法のことなど。

 火曜日。午後から明治。さらに渋谷の國學院で『うつほ物語』の会。「国譲」中巻。いわゆる、学校文法(教科書文法)的に見ると、社会的地位や血縁関係からすると敬語が説明できないところがあり、語り手の全知視点を、より柔軟に見ていかないといけないことに気付く。『伊勢物語』の場合には惟喬親王に対する敬語を認めない立場もあり、作品毎に敬語法の体系を組み替えていかなければならないとする提言が主宰の先生からもあり、原点を再確認することが出来たのでした。
 水曜日。全クラス「それから」を終える。あれこれと教材準備。青学の演習では、「若菜」下巻の女三宮懐妊のくだりに、登場人物の造型に関する自由発表。この手の発表になると、果然、大塚ひかりさんの著作の引用が目立つ。自然と能弁になっている自分に気付いたわけでした。
 夕方、時間が出来たので早稲田の図書館に立ち寄り、文献を渉猟したのち、帰宅したのでした。

カラダで感じる源氏物語 (ちくま文庫) カラダで感じる源氏物語 (ちくま文庫)
大塚 ひかり (2002/10)
筑摩書房

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学問の規定法。

 快晴。佳境に入った「それから」をまとめ、文芸批評を書いてもらう。題材にした「ケイタイ小説」は世代が違うようです。
 帰宅すると、小嶋菜温子編『王朝文学と通過儀礼』竹林舎を、執筆者の伊藤・大井田両先生から頂戴していました。いつもありがとうございます。
 重厚な論文が並ぶ中、ひとつ気になったのは、中村義雄先生の学問の規定。それは「民俗学」のカテゴリーに、『王朝の風俗と文学』塙書房.1962年が規定されていたこと。中村先生は、いわゆる文献学の人なのですが、現在の学問領域ではそう見られるのでしょうか。「~の人」と言うのをボクは好きではないけれど、気になることなのです。
 ちなみにこれは、先生が30代に書かれた著作、これぞまさしくのロングセラーといえるでしょう。
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日野内光本『源氏物語』桐壺。

 快晴。米子の原さんから、架蔵の「日野内光本『源氏物語』桐壺」に関する翻刻と論考を頂戴しました。『人物で読む源氏物語』16巻に寄稿していただいたコラムに修正を加えた上に、日本大学蔵三条西家証本との校合を附した労作。『実隆公記』にも、日野本を書写する記事が大永二~三年(1522.3)に見えるのですが、この本がそれに当たるとのこと。またまた勉強させていただきました。
内大臣・柏木・夕霧 内大臣・柏木・夕霧
室伏 信助 (2006/11/30)
勉誠出版

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ほんとうの「若き研究者の集団」復活。

 快晴。午後から物語研究会例会のため、学習院へ。今日はフェリスの日本文学国際会議や明治の古代学研究所のシンポと重なるもコアなメンバーが参戦。一本目がデビュー戦、二本目が戦後の国語教科書 約600冊の『源氏物語』採録状況を調査した労作。ボクの作った『源氏物語・大鏡』(角川書店、1999)は本体とともに指導書も紹介していただきました。
 二次会ではベテランさんが帰宅してしまったため、見渡してみると若い人ばかり。ボクは二番目の年長者、三十代も三人しかいないと言う、まさに会のチームポリシー「若き研究者の集団」となっていたのでした。ボクも年寄り扱いされぬよう、研鑽していかないと…。
 帰宅すると、百川敬仁先生が解説を書かれた、野坂昭如『とむらい師たち  岩波現代文庫』を頂戴していました。いつもありがとうございます。

とむらい師たち (岩波現代文庫 文芸 116) / 野坂 昭如
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晩秋の高遠。

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快晴。武蔵野を抜けて、信州の山々を見上げるとすでに冠雪。ここはすっかり晩秋の趣き。高遠城址の紅葉も鮮やか、田んぼでは野焼きの煙の香が、少年時代の懐かしい記憶を甦らせてくれました。夕方からの講義なので、地元でゆっくり温泉に入る。湯上がりにのんびり証人喚問を見ていたら、接待に同席した政治家の名前が出てびっくり…。ひとりは次期首相候補だそうだけれど、むしろ政治生命そのものが終わったのではないかと思ったのでした。続くニュースは、埼玉にも系列の薬科大(去年女子学生ふたりの心中事件がありました)を持つ学校法人総長T逮捕のニュース。女性が自発的にマニュアルを作り、「物言えば唇寒し」の裸の王様やりたい放題無法地帯だったようで、これが大学の経営者かよ、と呆れかえる。こういう人にもゴマする輩はどこにもいるもので、インタビューされた学校の関係者は、「こちらでは調べようがない」と来た…。まあ、家族もいるのだろうし、保身としてはこういうしかないのかも知れない。
 さて、やや日が落ちかかった頃に高校入り。都内有名女子大学に合格した生徒さんがうれしそうに報告してくれ、心も晴れやかに。あの大学に行ったボクの同級生には口も聞いてもらえなかったような気もするが…。他の生徒さんも看護・福祉系を中心に講習参加者は現時点で全勝中とのことで意気も上がります。ただ、陽が落ちて教室が冷え始め、その気温差に、これまた少年時代の記憶が甦ったのでした。
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楽しくて仕方がない平凡な日々。

 火曜日。またまた溜まった礼状を書き、夕方から大学へ。外が暗くなったのでスクリーンは鮮明。直射日光が当たると画面が見づらくなるからです。
 水曜日。一日中仕事。『源氏物語』の演習は、女楽から柏木密通事件へと展開。よく調べてあって、特殊な読みもほぼ完璧。がんばって下さいました。
 図書館から、予習のために『大日本史料 三条天皇』の一冊を借りてきました。帰宅して、レポートする日の前後を丁寧に読むとまた新しい発見があります。楽しくて仕方がない時間
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