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物語学の森 Blog版
このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。
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03:40:43
 山崎先生の御本から、国中併学のルーツを調べてみた。国文学科は、そのまま紫式部学会の打ち合わせが出来そうな陣容。池田亀鑑は昭和4年、東京帝国大学文学部副手の時、二松学舎専門学校教授として迎えられ、翌年さらに大正大学教授を兼ねる。東大助教授就任は昭和9年。二松は継続して勤務している。この間、小説の筆を折るものの、これは作家から大学教師へと楫を切ったということだろう。昭和26年、塩田良平理事長兼学長の辞職に抗議して池田亀鑑以下14教授が辞職。萩谷先生は開学直後の混乱から1年半の間、身を引かれていたが、26年春から、壊滅状態の国文科に復帰して孤軍奮闘。この混乱は30年10月の松浦昇平理事長解任-大学正常化まで続き、同年国会文教委員会で二松事件の集中審議が行われ、萩谷先生の名前も登場する。

昭和24年度 二松学舎大学設置認可教員
学長教授   塩田良平 専任 東京帝国大学文学部国文学科
国文学科
主任教授第1講座   橘 純一   兼任 東京帝国大学文学部国文学科
主任教授第3講座   藤村 作   兼任 東京帝国大学文学部国文学科
主任教授第2講座   池田亀鑑  兼任 東京帝国大学文学部国文学科
   教授         森本治吉  兼任 東京帝国大学文学部国文学科
   教授    吉田精一  兼任 東京帝国大学文学部国文学科
   教授    冨倉徳次郎 専任 京都帝国大学文学部国文学科
   助教授  酒井森之介 専任 東京帝国大学文学部国文学科
   助教授  萩谷 朴   専任 東京帝国大学文学部国文学科
   助教授  宮澤林直  専任 東京帝国大学文学部国文学科
   助教授       池上二郎  兼任 早稲田大学文学部言語学科
   助教授  次田香澄  専任 東京帝国大学文学部国文学科
   講師     暉岡康隆  兼任 早稲田大学文学部国文学科
   講師    高津春繁  兼任 東京帝国大学文学部国文学科
   講師    守随憲治  兼任 東京帝国大学文学部国文学科
   講師    吉田澄夫  兼任 東京帝国大学文学部国文学科
中国文学科
主任教授第2講座 那智左伝 専任 二松学舎 
主任教授第1講座  塩谷 温  専任 東京帝国大学文学部支那文学科 
主任教授第3講座  奥野信太郎 兼任 慶應義塾大学文学部支那文学科
 教授     原 三七   専任 東京帝国大学文学部支那文学科
    助教授     石川梅次郎 専任 大東文化学院高等科
    助教授    明星義次   専任 大東文化学院高等科 東京大学中国哲学科研究生 
    助教授    長瀬 誠   専任 大東文化科学院
    助教授   加藤常賢   兼任 東京帝国大学文学部支那文学科
    講師    橋本藤吉郎  兼任 大東文化学院高等科 日本大学国文科
    講師    松井武男   兼任 東京帝国大学文学部支那文学科
    講師    中沢希男   兼任 京城帝国大学法文学部支那文学科
    講師    真田但馬   兼任 大東文化学院高等科支那学科

 以上、『二松学舎大学百年史』1977年。



         
06:33:20


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 この5月、相次いで、萩谷先生にまつわる御本を頂戴した。ひとつは山崎正伸先生が二松学舎大学御定年を期して刊行された『ありがとうございます』。最終講義とそれにまつわるエッセイから構成され、中に、以前記した萩谷先生の原稿の落札者が山崎先生で、これと松尾聡『源氏物語全釈』の原稿は二松学舎図書館に寄贈された由の添え書きを頂戴した。最終講義「やれなかった授業、できなかった授業」はYou Tube配信。冒頭カリキュラム改革で、国中併学-国文学と漢文学を両学科生が共通して学ぶ昭和24年来のカリキュラムを、それぞれの学科の専門科目を軸に両学科の科目も履修できるように変更したと言う話があった。わたくしの履修科目がまさにそれで、漢文科目の多さに閉口した記憶から、これは二松教員OBの萩谷、中村義雄先生、二松学舎専門学校OBの須田哲夫先生の作った、二松履修モデルの継承であったと気づく。上記3先生に加え、中世文学の次田香澄先生も二松教員OBであったし、まだ30代だった辰巳正明先生、近代文学の田所周先生(専門学校)も二松卒業生、二松尽くしである。辰巳先生が学部時代萩谷ゼミだったことは、松苓会会報No62に書かれていて吃驚したことだ。山崎先生は、萩谷先生の原稿の記事があることを図書館から知らされておられたことに加え、『萩谷朴先生追想録』を読まれて、お送り下さった由。こちらこそ、ありがとうございました。
 最終講義の中に、山崎先生架蔵の日本画家・服部有恒の『伊勢物語』が紹介されている。この服部有恒の許で若き日々、小松茂美さんと日本画を習っていたのが中村先生である。中村先生の二松在籍は昭和42年の一年間のみである。

 また、先週、ご子息から、先生がご子息のために遺された遺著をお送りいただいた。形見分けと思って大切に致します。ありがとうございます。



 
10:14:47


 狭衣物語研究会の第5論文集。みなさん、ありがとうございます。井上眞弓、鈴木泰恵さんを中心に全国からメンバーを募り、テーマ設定によって論を練り上げてきたという。様々な学統の研究者がテーマに即した論文を揃えるには、様々なノウハウが必要だが、これは巧みにグリップが効いているように思われる。『狭衣物語』と言えば、本文の問題があるが、わたくしは片岡利博『異文の愉悦-狭衣物語本文研究』(笠間書院、2013年)による、西本願寺本本文が、実は内閣文庫本に加筆した本文であったという衝撃的な実証以来、テクストは大系本により、校本で底本との異同を確認しつつ考察することが必要だと考えている(ただし、巻4は内閣文庫本も版本系流布本)。この本文選択方法は、井上眞弓さんの論攷に実践されているが、大系本文、実は翻刻段階で行単位の脱文が認められると言うから、井上さんにはぜひ、古典ライブラリあたりでの本文提供をお願いしたいところだ。
 本論集には、『浜松中納言』『寝覚』『とりかへばや』『いはでしのぶ』平屋敷朝敏の擬古物語と、まさに物語の<変容-メタモルフォーゼ>の諸相が、全員女性執筆者によって展開されている。ぜひの御高架をお勧めする。

2021/05/10
07:07:48


 紫式部晩年の動静は、藤原実資の『小右記』がその動静を伝えている。今井源衛「紫式部の晩年再考」では、『小右記』の厳密な検討を行い、岡一男説によって、長和二年(1014)秋九月没とした旧版人物叢書『紫式部』(1965年)を寛仁三年(1019)生存説に改め、人物叢書も1985年から新版としている。ところが、昨今の歴史関係の記述では、未だに旧説が前提の論攷が見受けられるのは、どうしたことだろう。

 紫式部が、はじめて実資と会話を交わしたのは、かの寛弘5年11月1日であったことが知られる。のちに賢右府と讃えられた実資は、酔って醜態を晒した同僚の貴顕たちに比べて威厳に満ち、紫式部が気後れするようなオーラを放っていたようだ。

 『紫式部日記』寛弘五年11月1日条
 その次の間の東の柱もとに、右大将寄りて、衣の褄、袖口かぞへたまへるけしき、人よりことなり。酔ひのまぎれをあなづりきこえ、また誰れとかはなど思ひはべりて、はかなきことども言ふに、いみじくざれ今めく人よりも、けにいと恥づかしげにこそおはすべかめりしか。
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 また、斎院女房と中宮女房とを論じて、貴顕と会話する女房の存在もまた、中宮方の飾りではなく、女房の役割だと論じている。実資とのやりとりは「相遇女房」という定型で書かれており、紫式部から彰子周辺のトップシークレットが内々にもたらされたときの心覚えとなっているように思われるのである。
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 心やすく、もの恥ぢせずとあらむかからむの名をも惜しまぬ人、はたことなる心ばせのぶるもなくやは。たださやうの人のやすきままに、立ち寄りてうち語らへば、中宮の人埋もれたり、もしは用意なしなども言ひはべるなるべし。上臈中臈のほどぞ、あまりひき入り上衆めきてのみはべるめる。さのみして、宮の御ため、ものの飾りにはあらず、見苦しとも見はべり。

2021/05/04
08:02:08


 枕草子年表。徐々に増補中ながら、配付資料としてはなんとか一枚に収めておきたいところ。
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上原 作和

Author:上原 作和
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